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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#131 『Deserted - 姉と弟と…』(並木学/エスプガルーダII/AC)

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ケイブがおくる縦スクロールシューティング・エスプガルーダより、

並木学作曲、2の『Deserted - 姉と弟と…』。3面で流れます。

癖になる高難度が特徴のケイブシューのなかで、珍しく初心者でも挑戦できる難易度設計が魅力のエスプガルーダ、その続編にあたる本作。前作のシンラ大戦から三年後、再び復活した聖霊機関をめぐり、新たに生み出されたガルーダ(人と精霊が融合した人工生物兵器)の少女・アサギと、先の大戦を生き抜いたガルーダの兄妹・アゲハとタテハは、戦いの渦に巻き込まれていく。前作と同様、人型の自機の性能と見た目が変化する覚聖システムを受け継いでいるほか、新たに要となる覚聖絶死界システムが追加され、画面全体の動きが遅くなるなか、敵弾を消しても撃ち返し弾が発生することで、ハイリスクではあるものの、スコア稼ぎが白熱化するハイリターンな恩恵を得られる。これに伴い、難易度は上昇し、弾幕の密度も前作と比べて濃くなっていて、歯応えのある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは金田充弘氏と並木学氏。金田氏は一曲のみの担当で、残りはすべて並木氏が作曲している。並木氏は当時、金田氏は現在も音楽制作会社ベイシスケイプに所属している作曲家である。人気だった前作の楽曲をアレンジしているものも多く、トランス系の美しいメロディーラインは健在である。後に発売されたXbox360での移植版(ブラックレーベル)では梅本竜氏が編曲および新規曲の作曲を手がけていて、どれも完成度が高い。サウンドトラックはオリジナル版のほか、ブラックレーベルの追加曲を収録したものも発売されている。

3面は、本作で登場する姉弟のうち、1面ですでに撃破した弟のツバメの敵討ちをすべく、姉のジャノメが待ち受けるステージである。そこで流れるこの曲は、透明感と浮遊感あふれる電子音が特徴である。終始響き渡る心地良いビートが、機械音のように響く冷たいピアノやシンセのバラエティに富んだ音使いと相まって、シューティングならではの冷涼で清爽な空気感を演出する。1分12秒からはさらに激しく音の波が押し寄せ、フレーズが収束する2分5秒まで一息に高密度な音色を奏で続ける。冷たくも鮮やかなメリハリに満ちた一曲である。

ブラックレーベルのアレンジではピアノの音色がより鮮明になって、コーラスも入っています。原曲と比べてエレクトロニック成分が控えめな分、耳に馴染みやすい気がします。

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