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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#158 『ニュー・ワールド・オーダー』(高田雅史/ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生/PSP)

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スパイクがおくるハイスピード推理アクション・ダンガンロンパより、

高田雅史作曲、『ニュー・ワールド・オーダー』。物語の終盤で流れます。

推理アドベンチャー、バトルロイヤル形式のミステリー、アクションを融合させたダンガンロンパシリーズの第1作にあたる本作。希望ヶ峰学園に入学した、特別な才能、曰く超高校級の能力を持つ15人の生徒たちは、誰かを殺さない限り学園に一生閉じ込められ、卒業を賭けてコロシアイを強制させられることになる。サイケデリックなビジュアルにパンクなキャラクター造形、容赦のないグロ描写など、インパクトの強い要素がてんこ盛りで、シナリオも二転三転さらには四転する衝撃的な内容である。極限状態に追いやられた生徒たちが織り成す、希望と絶望の入り乱れる残酷な世界観を鮮やかに描き出した仕上がりとなっている。後に続編とあわせてVitaやPS4に移植されたほか、アプリやPCでも発売されている。

本作の音楽を担当するのは高田雅史氏。フリーランスの作曲家で、氏は単独で歌もの以外のシリーズすべての作曲を単独で担っている。ハイスピードなアクションを彩るライトで痛快な曲調が多く、推理というジャンルに合わせたミステリアスな楽曲も一通り揃っている。本作なラディカルな雰囲気を見事に落とし込んだアシッド系のサウンドは、特に主要なものは本作のみならず以降のシリーズでもたびたび使用され、その都度セルフアレンジされている。サウンドトラックは短いジングルも含めて2枚組で収録されている。

物語終盤のクライマックスシーンで流れるのがこの曲である。数々の事件を乗り越え、いよいよ物語の核心に迫ったときに浮上する新事実と、それを契機に大きく傾き出す展開を、シチュエーションにマッチした焦燥感あふれる曲調で彩る。均整のとれたピアノソロから始まり、ストリングスやパーカッションを交えながら同じフレーズを根気よく繰り返すことで、登場人物一人一人の思惑が何重にも絡み合っている様子を彷彿させる。一切の隙を感じさせない謎めいた曲調は、その複雑さのなかにかすかな希望の響きを漂わせる。緊迫感と昂揚感が綯い交ぜになった鮮やかな一曲である。

大きくは変わっていませんが、音源が進化してちょっとミステリアス成分を増したV3のアレンジも素敵です。『ニューワールドオーダーV3』、あわせてどうぞ。

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