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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#164 『Moonlight Piano』(佐藤天平/ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団/PSV)

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日本一ソフトウェアがおくるRPGルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団より、

佐藤天平作曲、『Moonlight Piano』。死都アマデウスで流れます。

ポップな絵柄とブラックな作風が共存するハクスラアクションRPG魔女と百騎兵と世界観を共有する本作。妖しげな辺境の都・ルフラン市に潜む前人未到の地下迷宮を踏破すべく、魔女・ドロニアとその弟子・ルカは、伝説の書物・妖路歴程を手に挑むことになる。魔女と百騎兵譲りのキュートさと残虐さはそのままに、本作は一人称視点の3DダジョンRPGとなっていて、戦闘はガウンと呼ばれる人形兵を招集して数の暴力でこなしていく。アクの強さは健在だが、突き刺すような尖ったセンスを持つ仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは佐藤天平氏。フリーランスの作曲家で、日本一ソフトウェア製の作品にはディスガイアシリーズや魔女と百騎兵など幅広く手がけていることから、馴染みのコンポーザーである。本作では妖しげな地下迷宮にあわせて、どこか毒気の漂う禍々しい民族調サウンドが勢揃いしている。サウンドトラックは初回限定版に同梱されているほか、氏本人によるセルフアレンジ版が存在する。

死都アマデウスは、物語後半で訪れることになる瘴気に包まれた滅びの都である。その廃墟らしさを一際印象付けるのは、寂寥感漂うこの曲である。静かなピアノイントロから始まり、ストリングスや笛が加わって奏でられる旋律は、「神が愛する」「神に愛される」という原義を持つアマデウスにふさわしい、博愛に満ちた悲哀を感じさせる。その物憂げな音使いは、美しくも儚い本作の世界観そのものを反映しているかのように響き、死の都ならではの退廃的な妖艶さを誇る。

曲名からするとベートーヴェンですが、アマデウスモーツァルト。惜しい……のでしょうか。