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#186 『シンリョクの森』(いとうけいすけ・川越康弘・村上徳子/ポケモン超不思議のダンジョン/3DS)

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株ポケとスパチュンがおくるダンジョンRPGポケモン不思議のダンジョンより、

いとうけいすけ・川越康弘・村上徳子作曲、超の『シンリョクの森』。

シンリョクの森で流れます。

ローグライク型の不思議のダンジョンポケモンが融合したポケダンシリーズのうち、5作目にあたる本作。ひょんなことからポケモンの子どもになってしまった主人公は、好奇心旺盛で自由奔放なパートナーと出会い、一緒に学校生活や探検をするうち、やがて迫る星の危機に立ち向かうことになる。発売当時(本編のXY)までに登場していたポケモン全720種が総出演する超ボリュームが特徴で、メガシンカが導入されたほか、従来のかしこさシステムに代わり、ダンジョン内でのみ効果を発揮する強力な冒険具・ラピスが登場した。さらに新要素・つながりオーブにより、ポケモン同士の相関図を確認しながら従来の掲示板さながらに依頼を受け、ゆくゆくは全種類のポケモンと繋がりを持つことができるようになった。集大成にふさわしい壮大かつ充実した仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはいとうけいすけ氏、川越康弘氏、村上徳子氏の三名。いずれも音楽制作会社ノイジークローク所属の作曲家で、このうち川越氏はすでに退社している。いとう氏は時闇から、川越氏はマグナゲートからの続投で、比較的若手の村上氏は本作がシリーズ初参戦である。ゲーム内では恒例のジュークボックスからBGMを試聴でき、過去作の音楽も収録されている。ダンジョン曲を中心に、冒険心をくすぐる粒揃いの良曲が多く、朗らかなものからシリアスなものまでバラエティ豊かな楽曲が揃っている。サウンドトラックは未発売である。

シンリョクの森で流れるのがこの曲である。チュートリアルダンジョンであるジョバンとうげを抜けた先、何者かに追われながら踏み入ることになる場所で、鬱蒼とした緑に覆われた最序盤のダンジョンである。操作方法の手ほどきを受け、ようやく始まる本格的な冒険の地で流れるこの曲は、イントロから一切の予断を許さぬ、張り詰めた空気感を漂わせる。ストリングスの低音とフルートの高音が入り乱れて奏でられる旋律は、未知への恐怖と期待を絶妙なバランスで滲ませていて、先のジョバンとうげで流れる軽やかで愉快な曲調から一転、壮大な冒険の幕開けを予感させる。加えて随所で打楽器(ジャンベを思わせる鼓に、カスタネットやマラカスのような組み合わせ)がリズミカル響くことで、適度に昂揚感を刺激するような印象を与える。最初から2番目のダンジョンという非常に早い段階で、大冒険に向けての気運をすっかり整えてくれる没入感あふれる一曲である。

個人的にはポケダンシリーズのみならずゲーム音楽全体を鑑みてもトップクラスの良曲だと思っています。『ジョバンとうげ』もあわせてどうぞ。

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