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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#189 『だけど僕は何度でも立ちあがる』(未来古代楽団/グリムノーツ/iOS・And)

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元気がおくる童話の世界を旅するRPG・グリムノーツより、

未来古代楽団(砂守岳央・松岡美弥子)作曲、『だけど僕は何度でも立ちあがる』。

ボス戦で流れます。

赤ずきんや白雪姫などの童話を題材にしたスマホ用アプリとして登場した本作。「運命の書」と呼ばれる一冊の本によってあらかじめ生き方が決められてしまう世界を舞台に、何も書かれていない「空白の書」を持つ異端の少年少女たちが運命を覆すべく立ち向かうことになる。既存の童話に新解釈を与えるボリューム満点なシナリオと、オーソドックスなクエスト制ながらもスタミナ要素を排したシステムが特徴である。2016年に配信開始後、2018年には大規模なアップデートを経て、副題を加えたRepageと称する新章が開幕した。現在はサービス終了済みである。

本作の音楽を担当するのは未来古代楽団。砂守岳央氏と松岡美弥子氏による、「未来人のための古代音楽」および「古代人のための未来音楽」をテーマにした少々風変わりなコンセプト音楽ユニットである。本作以前には、同じく配信元がスクエニのアプリであるディアホライズン(すでにサービス終了済)に携わった経験がある。本作では牧歌的な世界観を彩るにあたって、ケルト調に統一した温かみのある民族音楽が主体となっている。サウンドトラックは主題歌とそのインストゥルメンタル版も含めて収録されている。

ボス戦で流れるのがこの曲である。惜しみなく哀愁を漂わせる戦闘曲で、その他の楽曲も軒並みそうであるように、印象に残りやすい曲名を冠している。フィドルとティン・ホイッスルによる怒涛の速弾きから始まり、題名にある「何度でも」ということばの通り、幾度となくメインフレーズを繰り返すことで、力強さを目一杯感じさせる。サビではイントロで笛が奏でていたメロディーをそっくりそのままフィドルに譲り、一通りループが終わるとまたイントロに回帰する。そうして片時の暇も与えず紡がれる旋律は、運命への叛逆をも厭わない確かな勇気を与えてくれる。

童話モチーフのメルヘンチックな作風+ケルトの親和性の高さがよく窺えますね。