VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#210 『水の都』(久石譲/二ノ国II レヴァナントキングダム/PC・PS4)

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レベルファイブがおくるファンタジーRPG二ノ国より、

久石譲作曲、2の『水の都』。海上国家シーラザラカンで流れます。

アニメーション制作にスタジオジブリが関わったことで知られる二ノ国の8年越しの続編にあたる本作。クーデターにより国を追われた幼き王・エバンは、一ノ国(現実世界)から突如転移してきた元大統領の青年・ロウランや、空賊の少女・シャーティーとの出会いを通じて、自らの王国を建設して偉大な王を目指すことになる。本作ではジブリのスタッフは一部のみの参加で、前作で攻略の要だった付属品のマジックマスターはなく、一ノ国と二ノ国の別世界を行き来する要素もなくなっている。一方で、美麗なグラフィック、ハクスラ風のアクション性の高い戦闘システム、王道を征くシナリオなど、ファンタジーRPGらしい要素はしっかりと押さえている。前作から手触りは変わったものの、手堅くまとまった仕上がりとなっている。後にスイッチに移植された。

本作の音楽を担当するのは久石譲氏。言うまでもなく、ジブリ映画を筆頭に様々なフィールドで活躍する世界的な作曲家で、前作に引き続き作曲を担当している。巨匠を迎えて彩られる本作の音楽は、東京フィルハーモニー交響楽団による迫力満点の生演奏でおくられ、フルオーケストラならではの壮大さを存分に堪能できる仕上がりとなっている。サウンドトラックは主題歌も含めて収録されていて、新規マスタリングで高音質化されているほか、曲の終わりのループ部分など、一部ゲーム内の音源とは異なる趣向がこらされているものがある。

シーラザラカンで流れるのがこの曲である。四方八方を海に覆われ、水上に佇む南の国で、女王による徹底的な監視体制が敷かれている。街の中央には「女王の目」と呼ばれる巨大なオブジェクトが聳え立ち、国民の様子を四六時中休むことなく監視している。ディストピアに近い国家体制だが、街並みは退廃的であるどころか非常に風光明媚である。そうした国柄を彩るにあたって、豊かな水の流れを想起させる滑らかなバイオリンと透明感に満ちた素朴なフルートの音色が、絶えず鳴り響くハープとストリングスの重低音と組み合わさって、独特な哀愁を漂わせる。どこか秘密めいた美しさと儚さを内包した旋律が印象的で、不思議な神秘に満ちた一曲である。

水の都というモチーフの美しさをそのまま曲調に反映していて、とても心地良いですね。