山根ミチル作曲、月下の夜想曲の『ドラキュラ城』。城入り口で流れます。
悪魔城ドラキュラシリーズのうち、血の輪廻の直接の続編にあたる本作。リヒターの活躍によりドラキュラ伯爵が倒れてから4年、謎の失踪を遂げたリヒターと、謎の復活を遂げたドラキュラ城をめぐり、かつて仲間とともに父を滅し、醒めるはずのない眠りについたはずのドラキュラ伯爵の息子・アルカードが目覚めることになる。それまでの2Dステージクリア型から探索に特化したアクションへと変わり、経験値制の導入やアイテムの種類の豊富さなど、RPGを彷彿とさせる要素が多く揃っている。難易度が従来の作品と比べて易しめになっているなか、クリア後のアナザープレイをはじめ、やり込み要素は非常に充実していて、隅々まで探索し甲斐があるゲーム性が特徴である。シリーズの転換点として、今で言うメトロイドヴァニアというジャンルの礎を築いた仕上がりとなっている。後にセガサターンやXBLA、PSPなど、様々な機種に移植されている。
本作の音楽を担当するのは山根ミチル氏。セガサターン版では編曲のみで大園哲也氏、岡田蘭氏、辛島純子氏が参加している。山根氏は当時コナミに所属していた作曲家で、ドラキュラシリーズに関してはメガドライブのバンパイアキラーで作曲を務めて以来2度目の参加で、以降シリーズの多くに携わっている。本作では、ハードでキャッチーな今までのドラキュラサウンドとは一線を画する、艶やかで耽美的な曲調の楽曲が多い。サウンドトラックは主題歌も含めて収録されたオリジナル盤と、フロッピー付きのmidiアレンジ盤が存在する。
プロローグを終え、いざ城入り口に赴いたときに流れるのがこの曲である。飾り気のないストレートな曲名に反して複雑に絡み合う音使いは、夜の静けさと禍々しさをまとめて表現している。不安を煽るようなイントロから始まり、重厚感のあるドラムとともに流れ出す主旋律は、優雅なストリングスや荒々しいエレキギターによる伴奏と合わさって、徐々に音階をのぼっていく。ひとたび高音を奏で終えると、今度は風が唸るような不穏な効果音と一緒に、好奇心をくすぐる煌びやかな音色が響き渡り、ループへと入っていく。ダークな雰囲気を醸しつつ、内に秘めた信念の強さを窺わせる様子は、本作の主人公・アルカードの姿をいっそう力強く印象付ける。
対戦アクションのジャッジメントでは実際にアルカードのテーマ曲として用いられていますね。浅田靖さんによるアレンジ『Dracula's Castle』、あわせてどうぞ。