VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#235 『Rave On』(高田雅史/killer7/GC・PS2)

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グラスホッパーマニファクチュアがおくる多層人格アドベンチャーkiller7より、

高田雅史作曲、『Rave On』。羈絆門にて流れます。

奇を衒った作風で知られるグラスホッパーマニファクチュア製の作品群のなかでもカオスなセンスが光る本作。神殺しの異名を持つ殺し屋のハーマン・スミスは、世界を混沌に陥れる「笑う顔」現象に立ち向かうべく、自らに宿る7つの人格を使い分けて戦うことになる。チャプタークリア型のアクションアドベンチャーで、ハーマン・スミス以下、スミス姓を持つスミス同盟の、性格も能力も見た目も年齢すらも異なる個性的なキャラを切り替えながら物語が進行する。エロもグロもユーモアもペーソスも入り混じった癖だらけのシナリオが最大の特徴で、ルビを多用した斬新な台詞回しや、徹底された世界観と演出など、全編にわたって濃厚なノリが漂っている。アクション面では武器の切り替えやギミック攻略など、多層人格の設定を活かした要素が取り入れられている。総じて唯一無二の芸術性に満ちた怪作に仕上がっている。後にSteamに移植された。

本作の音楽を担当するのは高田雅史氏と福田淳氏。ともに当時GHMに所属していた作曲家で、よくタッグを組んで作曲している。このうち高田氏がメインコンポーザーとして、本作の楽曲の大半を手がけている。どすの効いた世界観に見合った、先鋭的でサイケデリックでともすればアシッドに近い、かと思いきやイージーリスニングのような曲調まで、強烈な作風にふさわしい強烈なサウンドが各種取り揃えられている。サウンドトラックは2枚組で収録されている。

羈絆門で流れるのがこの曲である。各章においてボスの居所に辿り着く中途に待ち受ける関所のような場所である。特徴的なドラムイントロから始まり、次から次へとダンサブルな電子音が押し寄せてくる。何度も何度も似通ったフレーズを繰り返し、メロディーが耳に馴染んだ頃、3分手前で新たなパーカッションパートが追加され、より過激な、より猟奇的なヴァイブを漂わせる。ラストは猛り狂ったかのようなアウトロで締めくくることで、不穏で常軌を逸した余韻が残る。猟奇的とも言える中毒性を感じさせる一曲である。

いいですね、すごく好きです。イントロやアウトロの怒涛のドラムの格好良さはもちろんのこと、メインメイロディーの耳心地が最高に魅力的で、聴いているとだんだん悦に浸るような感覚に襲われます。