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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#237 『逆襲の時!』(田川義浩・田中昭一・渡邊紀如/パワプロクンポケット13/NDS)

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コナミがおくる野球バラエティ・パワプロクンポケットより、

田川義浩・田中昭一・渡邊紀如作曲、13の『逆襲の時!』。

地方大会決勝戦で流れます。

実況パワフルプロ野球の外伝作品として、外伝という立ち位置に留まらない奇天烈な作風が特徴のパワポケシリーズのうち、ナンバリング13作目にあたる本作。野球一筋のエリートだったにも関わらず、大怪我を負って本校から分校へと左遷された主人公は、劣悪な野球環境と格差社会に翻弄されつつ、一矢報いるべく野球で頂点を目指すことになる。逆襲をテーマにした王道なサクセスシナリオと、集大成と名高い戦略性に富んだ裏サクセスの両方が噛み合った、シリーズのなかでも比較的とっつきやすい作品として知られている。投球操作を簡略化させる新システムも導入されていて、安定的かつ親しみやすい仕上がりになっている。

本作の音楽を担当するのは田川義浩氏、田中昭一氏、渡邊紀如氏の三名。いずれもコナミ所属の作曲家である。コンポーザー名義の彼らの他にも、サウンドディレクターやデザイナーとして、総勢七名が音楽づくりに携わっている。本作ではキャッチコピーの「うおおおおおおお 激アツ!野球」に違わぬ情熱的な楽曲が多く、球児たちの忘れられない夏を色鮮やかに彩ってくれる。サウンドトラックは長らく存在しなかったが、約10年越しに歴代シリーズのサントラ全曲配信に伴って各種デジタルストアで発売された。

地方大会決勝戦、一つの節目である試合にて流れるのがこの曲である。主人公が本校に所属していた頃に、一時はチームメイトとして共に戦った、親友でありライバルでもある幼馴染と決着をつけるこの試合は、物語上の最大の山場とも言える盛り上がりをみせる。その熱気あふれる戦いを、まるで歌モノに通ずるかのような爽やかで伸びやかなメロディーラインで昂揚感たっぷりに彩る。シンセとベースを軸とした一連の鮮やかなフレーズの後、53秒からのサビではいかにもチャンステーマらしいパワフルなトランペットが幅を利かるようになる。サビが終わる頃には一抹の哀愁を漂わせるが、ループに突入すると力強く再起する。曲名通りの強靭な覚悟を感じさせる一曲である。

勝戦はまさに因縁の対決、ゲーム中ではここで実況が入るのがまた一興です。