Toby Foxがおくる誰も死ななくていいやさしいRPG・UNDERTALEより、
Toby Fox作曲、『Battle Against a True Hero』（『本物のヒーローとの戦い』とも）。
Undyne the Undying戦で流れます。
2015年に登場して以来、インディーゲームとして空前絶後の大ヒットを飛ばした本作。ニンゲンとモンスターが存在する世界を舞台に、地底に落ちてしまったニンゲンの主人公は、地上へ帰るべく、道中様々なモンスターたちと交流することになる。選択次第で敵を一切倒すことなく進行できるが、問答無用でやっつけることも可能で、メタ的な要素の多さも相まって、従来のRPGの在り方をも覆す意欲的なゲーム性が特徴である。レトロ調のグラフィック、コマンド式だが見下ろし型シューティングらしい意匠を凝らした独特な戦闘システム、そして愉快なキャラが織り成す凄絶なシナリオ、いずれも世界中のプレイヤーから圧倒的な支持を得たエポックメイキングな仕上がりとなっている。後に各種家庭用機に移植された。
本作の音楽を担当するのはToby Fox氏。氏は作曲のみならずシナリオもプログラミングもゲームデザインも、端的に言えばゲーム制作のすべてをほぼ一人でこなしている。本作では、レトロテイストなグラフィックにあわせたチップチューン系のサウンドに、ピアノやバイオリンなどの豊かな音色を取り入れたバラエティ豊かな楽曲が揃っていて、総曲数は100を超えるほどの充実ぶりである。サウンドトラックはSteamのDLCや氏のBandcamp経由で配信されているほか、別売りのCDも存在し、日本語版には日本語の曲名が付されている。
本作の分岐のうち最も高難度な、通称Gルートにて立ちはだかるUndyne the Undying（ふじみのアンダイン）との戦いで流れるのがこの曲である。Undyneは王国騎士団の団長を務める勇敢な女騎士で、過去の経験によりニンゲンに深い憎しみを抱いている。彼女にとってこの戦いには負けられない事情があり、その決意の固さを反映するかのように、この曲は強い闘志を滲ませている。静かなピアノイントロに始まり、徐々にシンセやストリングスを交えて疾走感を増していく。後半の1分36秒からは、それまでの四拍子から三拍子へと代わり、ピアノやギター、クワイアを組み合わせて静謐な間奏を奏でる。2分手前で主旋律をトランペットへとバトンタッチすることで、いっそう勇ましい盛り上がりをみせ、あの手この手で必死に勝利を追求する彼女の姿を印象付ける。譲れない戦いというシチュエーションに合致した悲壮な一曲である。
このいい意味で安っぽいトランペットがとても雰囲気に合ってますね。
