VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#312 『ザリク砂漠』(村田幸史/ドラゴンスクロール 甦りし魔竜/FC)

www.youtube.com

コナミがおくるアクションRPG・ドラゴンスクロールより、

村田幸史作曲、『ザリク砂漠』(仮称)。砂漠エリアで流れます。

上記動画の7:03から8:54まで。

ファミコン向けのトップビュー型ARPGとして登場した本作。封印を施すことにより二頭の竜が相争う魔術の時代が終わり、長らく平和な時代が続いていたなかで、魔竜が封印されし八つの魔術書が盗まれたことをきっかけに、竜の生まれ変わりである勇者・フェラムが魔術書奪還の旅に出ることになる。森や砂漠や山といった自然地形に加え、場所によっては言語さえもが異なる国々など、広大なフィールドを巡る大冒険が待ち受ける。謎解き要素もあるが、ほぼノーヒントで進行するため、初見での攻略難易度が跳ね上がっている。広いマップで手探りしつつ進めるクラシカルな感覚と、よく描き込まれたグラフィックが印象的な意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのは村田幸史氏。当時コナミに所属していた作曲家である。本作は氏がコナミに在籍していた期間のなかでも初期の担当作品である。魔法や竜といったファンタジックな作風にあわせて、楽曲のほうもダークでシリアスな曲調のものが多い。サウンドトラックは未発売であるため、曲名は便宜上の仮称とする。

砂漠エリアで流れるのがこの曲である。どこかに幻の塔が隠されている寂寞とした大地を彩るにあたって、音階を上ったり下ったりする反復的なフレーズで、独特な荒寥感を漂わせる。低音から始まり、時折甲高い高音を響かせる主旋律からは、どことなく異境を旅するエキゾチックなムードを感じさせる。33秒あたり(7:36)から奏でられるサビは、それまでの殺伐とした雰囲気から一転、癖のないメロディーで哀愁を醸し出す。1分足らずでループする曲尺のなかで、飽きの来ないメリハリに満ちた一曲である。

砂漠で途方に暮れる感覚が伝わってくる気がしますね。