VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#350 『エアライド:スチールオーガン』(石川淳/カービィのエアライド/GC)

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HAL研究所がおくるアクションレースゲーム・カービィのエアライドより、

石川淳作曲、『エアライド:スチールオーガン』。スチールオーガンで流れます。

横スクロールアクションで知られる星のカービィシリーズのうち、現時点で唯一のレースゲームにあたる本作。今度のカービィは空飛ぶエアライドマシンに乗り、様々なコースを駆け抜けることになる。ややこしい操作を省き、スティックとAボタンのみの簡単操作で気軽に楽しめるシンプルさが特徴である。見た目も性能も個性的なエアライドマシンを駆ってコースを縦横無尽に疾走する快感が魅力である。お題に沿って攻略するクリアチェッカーはぜんぶで360個に及ぶなど、やり込み要素が充実しているほか、多数の隠しテクニックが仕込まれている。カジュアルな作風と遊び応えのある内容がうまく噛み合わさった仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはHAL研所属の安藤浩和氏、池上正氏、石川淳氏、酒井省吾氏といったおなじみの顔ぶれに加え、当時ちょうどアニメ版が放送されていたことを受けて、劇伴の作曲をしていた宮山彬良氏も参加している。本作の楽曲は、アニメのBGMを原曲そのまま用いているものもあれば、過去作の曲をアレンジしたものもあり、幅広いカービィサウンドが収録されている。もちろん本作オリジナルの楽曲も力作揃いで、すくなからず例外はあるが、全体的にオーケストラ調で統一した豪華な仕上がりとなっている。作中にサウンドテストがあるほか、雑誌の特典として一部楽曲が厳選して収録されたミニサントラが存在する。

オーケストラサウンド揃いの本作のなかで、その例外の最たるものが、スチールオーガンにて流れるこの曲である。スチールオーガンでは、いたるところ機械に覆われた怪しげな施設を駆け抜けることになり、コース中の急カーブや機械仕掛けの障害物の多さから、操作を誤ると甚大なタイムロスが発生しやすい。そうしたシビアな状況下を、メタリックな電子音が印象的な不気味かつ重厚なエレクトロで彩る。34秒あたりから女声コーラスが入ると、美しく神秘的な雰囲気を醸すが、46秒では一転してお経のようなドスの効いたボイスが加わり、強烈なインパクトを与える。お経のアカペラが終わると、1分10秒から一気に畳みかけるように煌びやかな音色が響き渡り、妖しくも鮮やかな勢いを感じさせる。不気味さと面妖さが綯い交ぜになった斬新奇抜な一曲である。

長らく誰が作曲したのか分からなかったのですが、ロボボに原曲のまま収録されたおかげで判明したんですよね。個人的にはロボボのどの曲よりもメカメカしい感じがして気に入っています。