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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#352 『Prex -Materia Kyokoensis-』(ZIZZ STUDIO/魔法少女まどか☆マギカ ポータブル/PSP)

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シャフトの人気アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」を原作とする、

バンダイナムコがおくるアドベンチャーダンジョンRPG・まどかポータブルより、

ZIZZ STUDIO作曲、『Prex -Materia Kyokoensis-』。佐倉杏子のテーマ曲。

2011年冬期の深夜アニメとして放映され、その衝撃的なシナリオと独特な映像表現で一世を風靡した「魔法少女まどか☆マギカ」の初のゲーム化作品にあたる本作。アドベンチャーパートとRPGパートに分かれていて、前者は基本的に原作通りに物語が進行していく一方、後者はローグライク型のダンジョンという形で再現された魔女結界を攻略していくことになる。原作では語られなかった補完シナリオやオリジナルのif展開(明るい内容も暗い内容も)が多数用意されている点が特徴で、分岐の多さやマルチエンディング制により、周回要素も充実している。アニメのシビアな世界観を受け継いだ仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはZIZZ STUDIOの面々。具体的な内訳は、スタッフロールに記載されている順で礒江俊道氏、大山曜氏、立花泰彦氏、筒井香織氏、川越好博氏、神保伸太郎氏、JUN2氏、佐藤誠一氏、豊田リョウジ氏、テイセナ氏、黒川陽介氏、安谷屋真之氏の総勢十二名である。原作アニメでは梶浦由記氏が作曲を手がけていたが、本作では梶浦氏が参加しないかわりに、彼女の築き上げたまどかサウンドに概ね忠実な幻想的な楽曲が勢揃いしている。また、曲名も原作に倣ってラテン語を用いている。サウンドトラックは限定盤に付属されている。

佐倉杏子のテーマとして流れるのがこの曲である。杏子は過去の出来事により徹底的な利己主義を貫くようになった好戦的な魔法少女である。そんな彼女を彩るにあたって、勢いあふれるギターのイントロから始まり、彼女の武器である多節棍型の槍の音を彷彿させるキーンという金属音が挿入されると、そこから畳みかけるように疾走感たっぷりのストリングスが奏でられる。30秒手前で主旋律のピアノが入ると、踊るように軽快なリズムを保ちつつドラマチックに展開していき、サビでは強く、美しく、華やかに悲愴感を漂わせる。荒々しくもその実、人情に厚い彼女にふさわしい一曲である。

prexラテン語で「祈り」だそう。ちなみに他の子たちのテーマ曲に関しては、まどかは「spes(希望)」、さやかは「justitia(正義)」、マミさんは「fides(信義、信頼)」、ほむらは「tutela(守護、加護)」とのことです。