VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#359 『Someone is Always Moving on the Surface』(星野康太/アーマード・コア フォーアンサー/PS3・X360)

www.youtube.com

フロムがおくるハイスピードメカアクション・アーマードコアより、

星野康太作曲、fAの『Someone is Always Moving on the Surface』。

タイトル画面および「アルテリア・クラニアム防衛」ミッションで流れます。

数百種類からなるパーツを自由に組み合わせた自分好みのメカで戦場を駆けるアーマードコアシリーズのうち、通算12作目にあたる本作。前作4の直接の続編として、物語の骨格となる国家解体戦争の数十年後の世界を描いている。本作では前作と比較して倍以上のパーツが収録されていて、シナリオはマルチエンディング制の導入によりさらに重厚に、ミッションも量と質ともに強化され、加えて操作性もかなり疾走感が増すなど、着実な進化を遂げている。処理落ちやオンライン対戦の粗などが目立つが、オフラインを中心に充実した遊びを堪能できる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは星野康太氏と衛藤英幸氏。両名ともフロムに所属するシリーズおなじみの作曲家で、衛藤氏は本作においては二曲のみの作曲であるため、星野氏がほぼ全曲を単独で作曲している。前作から楽曲は一新されていて、ハイスピードメカアクションというジャンル名にふさわしい刺激的でスピーディーなサウンドが、戦場を鮮やかに彩ってくれる。サウンドトラックはオリジナル音源で完全収録されている。

タイトル画面と「アルテリア・クラニアム防衛」ミッションで流れるのがこの曲である。小刻みに震えるかのごとく神経質そうなピアノの音色が響き渡り、その裏でコーラスやオーケストラが伴奏を務める。ピアノは最初から最後までずっと流麗に、かつ激しく荒ぶり続けるが、1分13秒あたりからすこし音量を抑えると、ストリングスをはじめとする伴奏に見せ場を与える。とりわけ曲の後半にかけて弦の悲壮な音色が迫力満点に奏でられることで、ピアノともども深遠な響きを生み出す。なお、「アルテリア・クラニアム防衛」はとあるルートのラストミッションであり、終盤の局面でタイトル画面と同一の曲を用いることで、いっそう強く心に残る。奥深い繊細さを感じさせる一曲である。

ACシリーズは曲名は英語で統一されていますが、どれも素敵なネーミングセンスでいいですね。かっこいい。