スクエニがおくるドラマティックシミュレーションRPG・フロントミッションより、
岩崎英則作曲、4の『Pride and Honor』。エルザ(E.C.)編のStage28で流れます。
人型機動兵器ヴァンツァーを操って陰謀渦巻く紛争を戦い抜くフロントミッションシリーズのうち、ナンバリング4作目にあたる本作。西暦2096年を舞台に、E.C.(ヨーロッパ共同体)とU.S.N.(ニューコンチネント合衆国)の激しい闘争を描いている。本作ではエルザとダリルの二人の主人公がダブルで主役を務めていて、同時並行で欧州と南米の物語は展開していく。一見無関係に思われた二人の運命は、話が進むうちに徐々に交錯し、やがて一つの真実へと収束する構成をとっている。PS2にハードを移行したことでグラフィックが大幅に向上し、ネイティブスピーカーによる本格的な英語CVが収録されているなど、徹底的なこだわりが見受けられる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは岩崎英則氏と山﨑良氏。いずれもスクエニに所属する作曲家たちで、主にシンセサイザーオペレーターとして活躍している。本作ではそれまでシリーズを担当していた作曲陣を一新して、両名を抜擢することでFMサウンドに新風を吹き込んでいる。なかでも岩崎氏はメインコンポーザーとして大半の楽曲を作曲していて、以降のシリーズにも携わることになる。本作の楽曲は、映画音楽を彷彿させる臨場感あふれるオーケストラ仕立てとなっていて、硬派で重厚な世界観を鮮やかに彩ってくれる。
欧州で活躍するエルザ編のStage28、すなわち最終ステージにて流れるのがこの曲である。イントロからクライマックスと言わんばかりの緊迫した雰囲気に満ち満ちたダイナミックな曲調が特徴である。威圧感と悲愴感たっぷりのストリングスの旋律と、パワフルなビートを紡ぐ打楽器によって、最終決戦という退くに退けないシチュエーションを見事に捉えている。全編にわたって凛々しく堂々たるオーケストラを用いることで、一時も油断できない極上のスリルを漂わせる。矜持を持ち、栄誉のために戦場を駆ける勇敢な軍人たちの姿を力強く印象付ける一曲である。
この息が詰まりそうなシリアスな曲調が、いかにもラストバトルにふさわしいですね。