VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#461 『SESSION !!!』(藤澤慶昌/幻影異聞録♯FE/WiiU)

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アトラスがおくるコラボRPG幻影異聞録♯FEより、

藤澤慶昌作曲、『SESSION !!!』。通常戦闘で流れます。

アトラスの真・女神転生任天堂インテリジェントシステムズ)のファイアーエムブレムがクロスオーバーして登場した本作。現代の東京を舞台に、華やかな芸能界と異世界・イドラスフィアを行き来しつつ物語を進めていく。芸能界をモチーフにしているだけのことはあり、戦闘もセッションやアドリブパフォーマンスといった特殊なコマンド式バトルを採用している。異色すぎるコラボでありながら、独自設定を活かして全体的に手堅くまとめられた仕上がりとなっている。後に追加要素を加えてスイッチ向けに移植された。

本作の音楽を担当するのは、インスト曲に関しては藤澤慶昌氏、ボーカル曲に関してはエイベックスグループの精鋭たちである。藤澤氏は主にJ-POPの楽曲提供やアニメの劇伴などで活躍している作曲家で、一世を風靡したアイドル青春劇・ラブライブで劇伴を務めた経験もある。現代のポップカルチャーを描いている本作にとって、サウンドの人選だけでも音楽に並々ならぬ力を入れていることが窺えるなか、いずれの楽曲も流行の最先端を行くようなスタイリッシュなものが多い。サウンドトラックはWiiU版の時点では、ボーカルコレクションのみが発売されていて、インスト曲は収録されていなかったため、ことインスト曲に関してはしばらく正式曲名不明の状態が続いていたが、スイッチ版の発売に伴って、追加曲および既存のインスト曲も搭載したベストサウンドコレクションが登場し、曲名も無事判明した。

通常戦闘で流れるのがこの曲である。本作はボーカル曲が数多く揃えられている一方で、この曲はインストゥルメンタル一筋である。電子音楽特有の爽やかで清々しい音使いが印象的なトランス系のエレクトロニックナンバーで、畳みかけるように展開する息もつかせぬ旋律が抜群の疾走感を生み出す。高音も低音も万遍なく駆使しつつ、そこに浮遊感あふれるリズムやビートをうまく融合させることで、派手な芸能界を彷彿させる煌びやかな印象を与える。聴けば聴くほど引き込まれるような、非常に鮮やかで心地良い一曲である。

エイベックスミュージックがゲームサウンドを全面的にプロデュース、というのはなかなかすごいことですね。ただ、できればインスト曲のサントラも出してほしいところ……と思ったら出ました。

※追記 ベストサウンドコレクションの発売を受け、記事タイトルの曲名を『通常戦闘』(仮称)から正式曲名『SESSION !!!』に変更しました。また、記事の内容を一部修正しました。