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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#540 『Aire Iglesia』(小林秀聡/ファンタシースターポータブル2 インフィニティ/PSP)

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セガがおくるSFファンタジーRPGファンタシースターより、

小林秀聡作曲、PSPo2iの『Aire Iglesia』。聖櫃クロウリィで流れます。

ファンタシースターシリーズのうち、グラール太陽系を舞台としたユニバースの流れを汲むポータブルシリーズの2作目にあたる本作。謎の生命体・SEEDがグラール太陽系に襲来してきたことによる激しい攻防・SEED事変から3年、資源枯渇の打開策として外宇宙への大規模な移民計画が進むなか、主人公は民間軍事会社・リトルウィングの一員としてグラール太陽系に迫る危機に立ち向かうことになる。開発はアルファ・システムが手がけていて、充実したキャラメイク、より爽快かつ戦略的になった戦闘システム、インフラストラクチャーモードによる本格的なオンラインプレイの実現など、前作から大幅に進化したシリーズ屈指の人気作となった。後に新シナリオや新種族を追加したマイナーチェンジ版のインフィニティが登場した。

本作の音楽を担当するのは小林秀聡氏、床井健一氏、中島広太氏、安田拓也氏の四名。インフィニティの追加曲に関しては熊谷文恵氏も参加している。小林氏と床井氏はセガ所属の、中島氏と安田氏はアルファ・システム所属の作曲家である。このうち小林氏はファンタシースターシリーズとの関わりが深く、サウンドディレクターとして、シリーズの音楽性を決定づけたといっても過言ではない。本作でも例に漏れずSFとファンタジーが高度に融合した世界観に見合った壮大で叙情的なシンフォニックサウンドが揃っている。サウンドトラックは無印とインフィニティでそれぞれ発売されていて、特に後者はアレンジ音源に加え、ボーナストラックとして光吉猛修氏が歌い上げるメインテーマも収録されているなど、魅力的な仕上がりとなっている。

インフィニティの追加エピソードの最終章で訪れることになるラストダンジョン・聖櫃クロウリィで流れるのがこの曲である。聖櫃クロウリィとは、かつてグラール太陽系の旧文明を滅ぼした諸悪の根源たるダークファルスを封印するためにつくられた古代船であり、この曲はそうした幻想的な場所にふさわしい、計り知れぬ神秘を漂わせている。浮遊感あふれるシンセサイザーの音色と、美しく絡み合うピアノの旋律とが重なることで、来る因縁の戦いに向けての英気と闘志をじっくりと養わせてくれる。曲名はスペイン語で「空の教会」を意味し、まさに聖櫃クロウリィをずばり表現したネーミングである。

PSO2の龍祭壇でこの曲のフレーズが使われているようなので、気になる方は探してみてください。