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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#566 『Marionette』(石渡太輔/GUILTY GEAR Xrd -SIGN-/PS3・PS4)

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アークシステムワークスがおくる対戦型格闘ゲームギルティギアより、

石渡太輔作曲・佐藤ノリチカ編曲、Xrdの『Marionette』。エルフェルトのテーマ曲。

痛快なコンボとスピーディーなバトル展開で知られるギルティギアシリーズのうち、シリーズの正統なナンバリングとしても、Xの系譜をたどる作品としても3作目にあたる本作。久々の完全新作であり、今まで通り2D格闘ゲームでありながら、3Dレンダリングを施した美麗なアニメ調のグラフィックが何よりもまず目を引く。システム面は全体的に簡易化し、ロマンキャンセルの仕様を原則いつでも発動できるように見直したほか、新たに相殺の際に一定確率でデンジャータイムが発生するようになり、形勢逆転のチャンスが生まれやすくなった。アーケード版のほか、家庭用機にも移植されていて、そちらでは新キャラの追加、ストーリーモードの大幅な拡充、クロスプラットフォームでのオンラインプレイなど、ますますブラッシュアップされた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは石渡太輔氏と佐藤ノリチカ氏。CS版では滝澤俊輔氏も参加している。石渡氏と佐藤氏はアークシステムワークスに、滝澤氏は音楽制作チーム・TRYTONELABOに所属している作曲家である。このうち石渡氏はシリーズの生みの親として、本作のゼネラルディレクターを務める傍ら作曲もおこなっている。また、佐藤氏は滝澤氏の担当曲を除きすべての楽曲の編曲および一部の作曲を担っている。本作ではキャラクターごとのテーマ曲が一新されたため、ほとんどが新曲であり、相変わらずシリーズおなじみのド派手でド迫力なギターサウンドが堪能できる。サウンドトラックは各種ボーカル曲も含めて4枚組で発売されている。

エルフェルト=ヴァレンタイン、姉のラムレザルに続きヴァレンタイン姓を持つ本作の重要人物である少女のテーマ曲として流れるのがこの曲である。無感情なラムレザル(そもそもヴァレンタインは感情を持たないとされている)とは対照的に、エルフェルトは感情豊かで心優しく、甘い恋愛を夢見る乙女であるが、可憐なドレス姿で銃器をぶっ放すさまはなかなかのインパクトを誇る。その印象をさらに強めるのが、優しさや甘さとは無縁なこのクールなロックナンバーであり、縦横無尽に響き渡るエレキギターに、コーラスやチェンバロによるエレガントな伴奏が重なると、上品さと重厚さが華麗にマリアージュする。その情緒豊かな曲調は、一介の操り人形に過ぎないと分かりながらも戦う彼女の強かな生き様をよく表している。

こういう轟音が炸裂するような曲っていいですよね。