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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#579 『URBAN TRAIL』(高木正彦/ナイトストライカー/AC)

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タイトーがおくる疑似3Dシューティング・ナイトストライカーより、

MAR.こと高木正彦作曲、『URBAN TRAIL』。市街ステージで流れます。

ポリゴン技術が登場する以前の疑似的な3Dシューティングとして、1989年に稼働開始した本作。組織的なテロが横行する近未来を舞台に、国連特務機関特別行動隊・ナイトストライカーが組織を壊滅すべく出動することになる。夜景が美しい市街や工場地帯、海上や上空など、全21面(ダライアスよろしく樹形図のように分岐するので、実際に1プレイで回れるのは6面まで)からなる様々なステージを疾駆しながら進めていく。速度調整はできない強制スクロールタイプだが、さながらレースゲームのように緩急自在な疾走感を味わえる。敵を一つ残らず殲滅することによるワイプアウトボーナスに加え、それとは逆に、敵を一切撃破せず、ノーダメージでクリアすることによるパシフィストボーナスも存在するなど、シューティングの枠に囚われない画期的なスコア稼ぎシステムが特徴的で、出荷台数のすくなさやレバーの壊れやすさといった要素も含めて、伝説的な魅力を誇る仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはMAR.こと高木正彦氏。当時タイトーサウンドチーム・ZUNTATAに所属していた作曲家である。本作では「夜の街を駆け抜けろ!」というキャッチコピーに違わぬ、近未来の夜をイメージしたエレクトロニックサウンドが揃っていて、シューティングとレースのいいとこどりをしたような至高の爽快感に満ちている。また、本作は多機種に移植されているが、基本的にどれもアーケード音源と同様のものを用いている(ただしメガCD版のみ、小倉久佳氏や河本圭代氏らによる専用アレンジが用意されていて、両方の音源を任意で切り替えられる)。サウンドトラックは再三にわたり、オリジナル、アレンジともに様々な形で発売されている。

市街ステージで流れるのがこの曲であある。1面にあたるステージAに加え、分岐次第では同じく市街を舞台とするステージO、最終面のステージRで聴く機会がある。ギラギラと輝くような浮遊感あふれる音色は、徐々に闇に沈んでいく夜景を燦然と照らし、アップテンポかつフューチャリスティックな昂揚感を生み出す。なお、本作の音響まわりは少々特殊で、通常左右に振るはずのチャンネルをあえて前後に配置することで、筐体との兼ね合いで音が体を通り抜けていくような感覚を再現しているという。それもあって、高速で押し寄せる音の波に圧倒される心地良さを存分に堪能できる一曲に仕上がっている。

メガCD版ナイストのアレンジはかなり癖のある感じですね。具体的にどんなふうに癖があるのかは聴いてみてください。

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