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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#652 『カゼキリ -風切-』(坂本英城/討鬼伝/PSP・PSV)

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コーエーテクモがおくる和風ハンティングアクション討鬼伝より、

坂本英城作曲・いとうけいすけ編曲、『カゼキリ -風切-』。

カゼキリとアマキリとの戦闘で流れます。

狩りゲーのなかでも特に和の世界観と部位破壊に主眼を置いた本作。太古より平和を脅かす異形の敵である鬼を討つべく、プレイヤーはモノノフとなって終わりなき戦いに身を投じていく。驚異的な生命力を持つ鬼を倒すには、その巨体から四肢や角などを断ち切り、剥き出しになったところでダメージを与える必要があり、太刀や手甲といった様々な武器を使いこなしながら手際よく攻撃を仕掛けることになる。ミタマと呼ばれる日本史上の英雄の魂を宿すことで、戦闘スタイルや特殊能力を適宜使い分けることができ、細部まで描き込まれた美麗なグラフィックや歯応えのあるアクション性とが印象的な仕上がりとなっている。後に追加要素を加えた極が発売された。

本作の音楽を担当するのは坂本英城氏。編曲のみの参加でいとうけいすけ氏も携わっている。いずれも音楽制作会社ノイジークロークに所属する作曲家たちで、このうち坂本氏は極や続編の2でも引き続きメインコンポーザーを務めている。本作では徹底された和の作風に寄り添うべく、音楽も和楽器をふんだんに用いた楽曲が勢揃いしていて、緊張感あふれるオーケストラサウンドが白熱の狩りを盛り上げてくれる。サウンドトラックは坂本氏率いる音楽バンド・TEKARUの演奏によるボーナストラック含め全曲収録されたものが発売されている。

カゼキリおよびその強化版色違いのアマキリとの戦闘で流れるのがこの曲である。この二匹は獅子のような姿をした大型の鬼で、風を切って疾駆する俊敏さが何よりの特徴である。風というイメージに寄り添うかのごとく、軽やかに疾駆する弦の音色が印象的に響き渡る。熾烈に拍を刻む太鼓に、速弾きストリングスの鮮やかな旋律が重なることで、身を切るような切迫感を生み出す。48秒頃に挿入される和笛の音や、1分13秒頃に入る管楽器の音色が、束の間だけ優雅な空気感を漂わせるが、しばらくすると再びスリル満点な曲調へと回帰する。和の趣と狩りの緊張感が見事に融合した一曲である。

素早く動き回る相手を手際よく仕留めるという狩りの醍醐味が凝縮されている印象です。