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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#674 『DAEMON X MACHINA』(濱本理央/DAEMON X MACHINA/NS)

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マーベラスがおくるメカアクション・デモンエクスマキナより、

濱本理央作曲、『DAEMON X MACHINA』。タイトル画面などで流れます。

アーマードコアシリーズで知られるプロデューサーの佃健一郎氏とメカニックデザイナー河森正治氏のタッグが手がける完全新作として登場した本作。月の落下によりもたらされた新たなエネルギー資源と、突如人類に反旗を翻した敵性AIをめぐり、各地で解放旅団と呼ばれる傭兵集団が結成、それぞれの思惑が絡み合うなか、主人公は新人傭兵として人型機動兵器・アーセナルを駆って戦場を生き抜くことになる。自分好みのパーツを組み合わせて機体を調整し、戦いのさなかで強奪した武器をリアルタイムで換装しながら任務をこなしていく。曲者揃いのキャラクターや高純度なSFの世界観、巨大ボスに挑むオンラインの協力プレイモード、機体のみならず人体への改造を含めた豊富なカスタマイズ要素と相まって、メカアクションの醍醐味を押さえた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはバンダイナムコスタジオサウンドチームより宇佐美十章氏、北谷光浩氏、田島勝朗氏、中鶴潤一氏、橋本大樹氏、濱本理央氏、平井克明氏、三崎修吏氏、山内裕介氏、Linda AI-CUE(石川哲彦)氏の総勢十名。サウンドのみバンナムに外注という珍しいパターンで、プロデューサーの佃氏のたっての要望により実現したという。曲の方向性としてはドイツのメタルバンド・RAMMSTEINのようなラディカルな雰囲気と、エースコンバットのような壮大なオーケストラ調のものを中心に、様々なジャンルを混ぜ合わせていて、抜群の統一性を誇りつつ、十人十色の作風を楽しめるようになっている。サウンドトラックは作曲家含め制作スタッフ13人によるコメント付きで全曲収録されている。

タイトル画面とスタッフロールの後半で流れるのがこの曲である。静謐なピアノとクワイアによるイントロから一気に盛り上がっていくヒロイックなシンフォニックサウンドが、脳裏に焼き付くような鮮烈な印象を与える。15秒から弦楽器が加わって緊張感を高め、続く30秒には管楽器や打楽器も参戦して役者が揃うと、もはや遠慮することのない不退転の勢いで壮麗な旋律を奏でる。大仰なほど勇ましいフレーズの合間に、1分15秒や2分28秒などで一旦勢いを抑える場面があるが、抑え終わると再び溢れ返らんばかりの最上級の使命感を醸す。特に2分43分秒以降の演奏は圧巻で、血と鋼鉄の物語の幕開けと幕引きを彩るにふさわしい堂々たる存在感を放つ。題名を冠するメインテーマならではの、本作を象徴する一曲に仕上がっている。

初めて聴いたとき、これはラストバトルでも流れるかなと思ったのですが、そっちはそっちでまた別の強烈な曲が用意されていましたね。ちなみにメインテーマは、開発初期の段階でコンペみたいな形で5~6人ほどがそれぞれ自分のイメージするものを作曲して、そのなかからこの曲が選ばれたそう。インタビュー記事が面白いのでぜひ。

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