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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#681 『ボス戦』(上田絹代/メダロット・ナビ カブト/クワガタ/GBA)

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ナツメがおくるシミュレーションRPGメダロットnaviより、

上田(山下)絹代作曲、『ボス戦』(仮称)。中ボス戦で流れます。

メダロットシリーズのうち、スピンオフ作品として戦略シミュレーション要素を取り入れた本作。人間と友達ロボット・メダロットが共存する近未来を舞台に、中学生の主人公・カスミはひょんなことからクラス全員で宇宙テーマパークのプレオープンに招待されるも、不慮の事故で本物の宇宙に漂流し、地球への帰還を目指して戦うことになる。本作の戦闘システムは従来の3対3から大幅に刷新され、9×9マスのフィールド上で5対5、それもターン制シミュレーションの方式になった。メダロットのデザインはナンバリングとは異なるデザイナーが担当していることからか、オーソドックスな人型以外にも非常に個性豊かな機体が揃っている。総じてシリーズのなかでも異色の仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは上田絹代氏。メダロットシリーズの作曲家としておなじみの山下絹代氏の別名義である。本作は何かと従来の作品と比較して毛色の異なる部分が多いなかで、音楽に関してはいつも通りのパワフルなサウンドが堪能できる。同時期に発売されたナンバリング作品の4および5はゲームボーイカラー用(つまり実質的にGB音)だが、本作はその次世代機にあたるアドバンス用ということで、進化した表現力を楽しめる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

強敵と名高い木星メダロット・ゼロスーサイドをはじめ、複数の中ボス戦で流れるのがこの曲である。緩やかなテンポでずっしりと威圧的に奏でられるイントロから始まり、30秒過ぎたあたりで一気にスピーディーな曲調へと様変わりする。畳みかけるような力強さで展開する旋律は、疾走感を漂わせつつ、相変わらず抑圧的な重厚感をも滲ませていて、休符をうまく使いこなしながら独特な小気味良さを醸し出す。一瞬の判断が勝敗を分ける油断大敵な熱戦をヒロイックに彩る一曲である。

最初はゆっくりで、途中からぐっと盛り上がるものと言えば(この曲よりもだいぶ溜めが長いですが)『DO・OR・DIE』も同じ構成ですね。それはまた今度紹介しましょう。