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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#704 『まだ見ぬ世界へ』(高本誠一/幻想水滸伝 紡がれし百年の時/PSP)

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コナミがおくるRPG幻想水滸伝より、

高本誠一作曲、紡がれし百年の時の『まだ見ぬ世界へ』。ワールドマップで流れます。

幻想水滸伝シリーズのうち、ナンバリングとは異なる新章として登場した前作のティアクライスの系譜を継ぐ本作。百年に一度目を覚ますという怪物の脅威に晒される世界を舞台に、怪物を倒す術を求めて主人公たちは過去を旅して運命を変え、やがては世界の真実に辿り着くことになる。108人の宿主や百万世界といったシリーズおなじみのキーワードは共通しているが、戦争そのものより過去修正に重きを置いていて、現代はもちろん、100年、200年前の過去を冒険する点が特徴である。その作風は戦記RPGというよりアドベンチャーに近いなど、従来の作品とはかなり毛色が違う仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは高本誠一氏。音楽制作会社ソリッドチューンの代表で、かつてコナミに所属していた作曲家である。幻水シリーズの作曲に携わるのは本作が初めてで、主題歌や過去作から再利用された楽曲を除き単独で全曲作曲している。本作は今までとは雰囲気がだいぶ異なるものの、音楽に関してはいつもの路線を踏襲し、深みのあるノスタルジックな民族音楽調で統一されている。サウンドトラックは主題歌や声優陣によるオリジナルドラマを含めて収録されている。

ワールドマップで流れるのがこの曲である。本作におけるワールドマップは自由に動き回るタイプではなく選択肢から行き先を選ぶタイプで、物語が進むにつれ一枚の大きな白地図に新たな目的地が書き記されていくが、この清々しい曲はそうした冒険気分を鮮やかに彩ってくれる。バイオリン、ピアノ、トランペット、フルートなど、オーケストラを構成する楽器の数々が一丸となって奏でる壮麗なアンサンブルは、どこかエキゾチックに響く麗らかな女性コーラスを伴うことで、いっそう爽快な解放感を醸し出す。曲名通りの陽気な期待感を募らせてくれる一曲である。

サビの盛り上がりがとても気持ちいいですね。ピチカートの使い方が特に好きです。