VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#706 『Cut to the Chase』(Henry Jackman/Uncharted 4: A Thief's End/PS4)

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Naughty Dogがおくるアクションアドベンチャーアンチャーテッドより、

Henry Jackman作曲、4(海賊王と最後の秘宝)の『Cut to the Chase』。

プロローグのアクションシーンなどで流れます。

トレジャーハンターのネイトの冒険を描くアンチャーテッドシリーズのうち、ナンバリング4作目にあたる本作。前作から3年、死んだはずの兄・サムの来訪を機に、ネイトは伝説の海賊ヘンリー・エイブリーの秘宝を追い求めることになる。シリーズ初のPS4作品ということでグラフィックは大幅にパワーアップし、よりリアルでダイナミックな映像表現が可能となったほか、新要素として鉤付きロープを用いたフックアクションが登場、さらにTPS視点でのステルスアクションも充実している。今まで以上に大作映画を追体験するような臨場感に満ちた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは主にHenry Jackman氏。イギリス出身の作曲家で、映画の劇伴作曲を多く手がける気鋭のアーティストである。UCシリーズに携わるのは本作が初めてで、今まで担当してきたGreg Edmonson氏に代わってメインコンポーザーを務めている。また、アディショナルコンポーザーとしてAlex Belcher氏らも一部作曲している。本作ではより映画的にブラッシュアップされた作風にあわせて、ストリングスを軸とした派手で壮大なオーケストラに、シリーズおなじみの民族楽器を融合したものが揃っていて、波乱のシナリオを緩急自在に盛り上げてくれる。ステルスシーンではパーカッションが強調されるなど、映像や状況にリンクしたインタラクティブな仕掛けも満載である。サウンドトラックは未収録のものも多いがJackman氏の担当分を中心に代表的な曲を収録したものが発売されている。

プロローグ、追っ手を振り切りながら嵐の荒波を航海するシーンで流れるのがこの曲である。このシーンは後に12章の最後で再現される(ただしダイジェストなのでアクションはカットされる)が、開始早々、危機的な事態に晒されるシチュエーションを、張り詰めたストリングスの音色がスリル満点に表現している。不穏な印象を与える鋭い高音と、弦のみならず管楽器も一体となって奏でる勇壮な重低音が、恐怖と興奮とが綯い交ぜになった劇的な昂揚感を生み出す。時折、26秒や1分12秒あたりなどでみられるように笛が響くことで、ますます熾烈に警戒感を煽り、一瞬にして本作の世界観に引き込んでくれる。曲名は「遠回しな言い方をやめる、要点に入る」という意味の慣用句で、単刀直入に本作の魅力を凝縮した一曲に仕上がっている。

Naughty Dogのゲームから何か、というリクエストをいただきました。変わった慣用句ですが、語源を辿ると映画由来の表現で、本作では実際にチェイスシーンで使われるということもあって抜群のネーミングセンスですね。