EA DICEがおくるパルクールアクション・ミラーズエッジより、
Solar Fields作曲、『Kate (Puzzle)』（仮称）。Chapter 8のパズルシーンで流れます。
Electronic Arts傘下のスウェーデンの開発子会社・Digital Illusions CEの完全新作として登場した本作。政府による厳しい統制と監視がおこなわれる未来都市を舞台に、ランナーと呼ばれる非合法な機密情報を輸送する仕事を生業とする主人公・フェイスは、殺人の濡れ衣を着せられた双子の妹・ケイトを救うべく、真実を求めて奔走することになる。驚異的な身体能力を駆使して都市を縦横無尽に駆け巡る一人称視点のアクションアドベンチャーで、監視の目を掻い潜りながら、ビルを飛び移り、フェンスを乗り越え、道なき道を進んでいく。白で統一された無機質なグラフィック、移動や謎解きを主軸に据えつつ、銃撃戦によるFPS要素もある独特なゲーム性、徹底的に臨場感を追求したリアル志向の演出など、隅々まで洗練された仕上がりとなっている。後にPCやスマホにも移植された。
本作の音楽を担当するのはSolar Fields。スウェーデン出身の作曲家・Magnus Birgersson氏によるソロユニットで、主に電子音楽のジャンルで活躍している。ゲーム音楽を手がけるのは本作が初めてで、以降、続編のCatalystでも引き続き作曲することになる。本作では人情味のない冷徹な管理社会を表現するにあたって、透き通るような浮遊感を持つアンビエント系のサウンドが揃っている。サウンドトラックは主要な場面で流れる楽曲のみを厳選して収録しているため、コンバットシーンやパズルシーンを中心に未収録のものが多く、それらに関しては曲名も判明していない。
最終章の一つ前であるChapter 8: Kateのパズルシーン、すなわち工事現場のエリアで流れるのがこの曲である。いよいよ核心に迫りつつある状況下、一刻も早くこの迷路のような工事現場を抜け出さなければならないという焦燥感や使命感とは裏腹に、この曲は非常に落ち着きのあるローファイヒップホップのような曲調となっている。どこかミステリアスな印象を与える電子音は、聴くだけで集中力を高めて思考を研ぎ澄ませてくれるような不思議な魅力にあふれている。建設中の足場や壁面を伝って的確なルートを導き出すシーンにぴったりな、圧倒的な静謐さに満ちた一曲である。
実際のゲーム画面ではフェイスの呼吸音や足音などの効果音も加わって、淡々としたミニマリスティックな曲調に良い感じのアクセントを添えてくれます。心を空っぽにして瞑想したいときに聴くと捗りそうですね。
