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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#781 『深海エリア』(伊勢村篤義・稲垣博信/星のカービィ 鏡の大迷宮/GBA)

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HAL研フラグシップがおくるアクション・星のカービィより、

伊勢村篤義・稲垣博信作曲、『深海エリア』。エリア6「OLIVE OCEAN」で流れます。

星のカービィシリーズのうち、GBA用の新作アクションとして、HAL研に加えてフラグシップと共同で開発された本作。プププランドの遥か上空にある鏡の国を舞台に、悪しき者の心を映して暴走し、八つに割れてしまった巨大な鏡・ディメンションミラーを元通りにすべく、メタナイトの剣によって四人に分裂してしまったカービィたちが冒険に出ることになる。おなじみのステージクリア型ではなく、鏡の国の中心地・セントラルサークルを基点に、すべてのエリアが繋がっている探索重視のゲーム性が特徴で、自分が操作している1Pカービィ以外の三人は常に各々自由に冒険しているため、疑似的な協力プレイが楽しめる(当然、通信機能を使えば最大四人まで同時に遊べる)。どのエリアから攻略してもいい自由度の高さや、カービィが四人揃って初めて解けるギミック、宝探しをはじめとするコレクション要素の充実ぶりなど、従来のシリーズとはやや毛色が異なるものの、ボリューム満点かつ歯応えたっぷりな仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは伊勢村篤義氏と稲垣博信氏。いずれもHAL研でもフラグシップでもなく、受託開発していたゲーム会社・ディンプス所属の作曲家である。両名がカービィシリーズに携わるのは現時点で本作が最初で最後の作品である。過去作の曲が使われることの多いシリーズとしては珍しく、短いジングルを除くほぼすべてが新規書き下ろしとなっていて、エリアごとに個性豊かな楽曲が用意されている。サウンドトラックはキャンペーンで先行配布された非売品が存在するほか、作中の宝箱から入手できるサウンドプレイヤーとがくふを集めることでサウンドテストが解放され、自由に試聴できる仕組みとなっている。

エリア6「OLIVE OCEAN」は海辺と深海から成るエリアで、水中ならではの泳ぎのアクションが核となるが、そこで流れるのがこの曲である。水流の影響を諸に受けるため、操作するにも一苦労かかり、そうしたシビアな難易度に見合った硬派なエレクトロニックサウンドが奏でられる。緻密に敷き詰められた伴奏が、テンポよく響き渡るパーカッションと相まってシリアスで刺激的な雰囲気を醸し出し、聴けば聴くほど虜になるような抜群の小気味よさを誇る。ちなみにラスボス戦のBGM『ラストボス / 第2形態』にもこの曲のフレーズが一部組み込まれていて、戦闘曲にもなり得るようなポテンシャルを秘めている。

主旋律と主旋律の間に挟まれるパーカッションのみのパート(23~26秒など)が良い渋味を出していますね。『ラストボス / 第2形態』(下記動画の19秒頃からのフレーズがこの曲由来)、それからアレンジの宝庫たるスタアラより『影なる共闘』・『ダークミラージュ』(ともに小笠原雄太さんによる編曲で、後者はこの曲というより『ラストボス / 第2形態』のアレンジ)、三つあわせてお聴きください。

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