VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#896 『水の町~ミストハレリ昼』(西浦智仁/レイトン教授と魔神の笛/NDS)

www.youtube.com

レベルファイブがおくるナゾトキファンタジーアドベンチャーレイトン教授より、

西浦智仁作曲、魔神の笛の『水の町~ミストハレリ昼』。

ミストハレリで流れます。

レイトン教授シリーズのうち、前作(最後の時間旅行)をもって一旦区切りがついた後、セカンドシリーズの第1弾として登場した本作。初代の3年前を舞台に、暴れ回る謎の魔神によって被害を受けている霧の町・ミストハレリを調査すべく、レイトン教授は押しかけ助手のレミとともに、魔神の出現を予言する少年・ルークと出会い、ナゾを解明することになる。新シリーズ開幕にあたって過去編を描いていて、これまでの作品で助手を務めていたルークとの出会いの物語を追体験できる。ナゾに関してはなぞなぞやパズルなど、様々なジャンルがバランスよく新録されているほか、クリア後のおまけとしてロンドンの暮らしを楽しめるブラウニーブラウン製のRPGが搭載されている。シナリオ面でやや唐突さがあるが、今まで通りの作風を受け継いだ仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは西浦智仁氏。レベルファイブに所属する作曲家で、レイトン教授シリーズには初代から欠かさず参加している、シリーズサウンドの要である。本作でもいつも通り、アコーディオンやバイオリンを主軸に据えたクラシカルでメロディアスなサウンドが揃っていて、作品名に「魔神の笛」とあるように、笛の調べをフィーチャーした楽曲も収録されている。サウンドトラックにはオリジナル音源と、一部楽曲をアレンジした恒例の生演奏音源が含まれている。

本作の舞台にしてルークの故郷であり、笛が鳴るとき魔神が現れる、という魔神伝説が伝わる霧と水の町・ミストハレリの昼間に流れるのがこの曲である。普段は町全体を流れる川の景観が印象的な穏やかで美しい街並みで、ピアノ、アコーディオン、ストリングスのトリオが紡ぐ優しい三拍子のリズムが、長閑な雰囲気を目一杯感じさせる。心安らぐ癒しに満ちているが、その旋律はどことなくメランコリックで、40秒頃からは小節の二拍目に弦を指ではじくピチカートが加わることで、瑞々しい躍動感を与えつつ、素朴な哀愁をも漂わせる。耳心地の良い温もりと切なさを併せ持つ一曲である。

「~ミストハレリ昼」と来ればもちろん『霧の町~ミストハレリ夜』もありますが、そもそも夜に探索する場面が作中にほとんどありません。夜の曲はピアノ、フルート、ギターのトリオ、相変わらず素敵な楽器編成です。あわせてどうぞ。

www.youtube.com