VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#908 『黄色い巨人』(浅野逹彦/巨人のドシン/GC)

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パーラムがおくる南国アクション・巨人のドシンより、

浅野逹彦作曲、『黄色い巨人』。日没時に流れます。

ニンテンドウ64の周辺機器・64DDのローンチタイトルとして会員向けに限定配布された、公式ジャンル名「アゲ・サ・ゲーム南国風」で知られる巨人のドシン1の、GC向け移植にあたる本作。熱帯に浮かぶバルド島を舞台に、プレイヤーは朝日と共に現れ、夕日と共に消える黄色い巨人となり、島で過ごすことになる。原作の珍妙なジャンル名に違わず、地形をアゲたりサゲたり、木々や建物を持ち運んだりして島をアレンジできる点が醍醐味で、これといって何をしてもしなくてもよい、無目的なゲーム性が特徴である。優しさに満ちたラブ巨人となって島民の要望に応えるもよし、怒りに満ちたヘイト巨人となって破壊の限りを尽くすもよし、集落を発展させてエンディングを目指すもよし、独創的で自由度の高い南国体験を堪能できる仕上がりとなっている。移植に際してグラフィックが刷新、島民に男女の区別ができたほか、ヘイト巨人が飛べるようになるなど、各種調整が施されている。

本作の音楽を担当するのは浅野逹彦氏。バンドやライブなどで活躍するギタリストで、ゲーム音楽での作曲経験は現時点で本作のみである。本作ではその独特な雰囲気を表現すべく、アコースティックギターを中心としたアンビエント調のサウンドが揃っていて、ところどころ挿入される風や波の音などの環境音が興を添える。全体的に南国風といえど無国籍な印象を与え、長閑で朗らかな癒し系に留まらず、ものによってはダウンテンポで哀愁漂う楽曲もある。サウンドトラックについては、64DD版の原曲をアレンジして収録したもの(GC版で一部流用されている)が存在する。

本作では、巨人は一日限りの存在で、日没になると否応なしに消滅し、翌日は別個体を操作するという風変わりなゲームサイクルを採用している。そうしたなかで、日没の時間帯、巨人の足取りが重くなってやがては消えるときに流れるのがこの曲である。その日の足跡(巨人の身長、歩数、壊した建物の数、他多数の記録)が表示される、ある種のリザルト画面とも言えるシーンで、なぜか巨人が消えてしまうことへの哀愁と、一日頑張ったことへの労いとが綯い交ぜになったような、不思議な哀しみとくつろぎに満ちたギターが麗らかに響き渡る。間延びしたようなシンセとスチールパンのトロピカルな音色が印象的な、どこかサイケデリックな色味を帯びたチルアウト系の一曲である。

これ以上ないくらい作品の雰囲気に合ってますよね。サントラにはギターソロのリプライズ版もあって、これもまた素敵な出来映えです。『黄色い巨人(リプライズ)』あわせてどうぞ。

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