VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#920 『Show Time』(細江慎治/鋳薔薇/AC)

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ケイブがおくる縦スクロール型シューティング・鋳薔薇より、

細江慎治作曲、『Show Time』。1面道中で流れます。

バトルガレッガのスタッフがケイブに移籍して開発した本作。時は19世紀、蒸気機関により発達を遂げる北欧のエーデルワイス皇国で、突如テレサ・ローズ博士率いるローズ・ガーデンが反旗を翻し、世界をバラ園へとつくり変えようと目論むなか、皇宮直属特殊部隊に属するボンドとダインは武機を駆り、脅威に立ち向かうことになる。全6面構成、自機は高速かつ集束型のショットを軸とする1Pと、低速だが広範囲型の2Pに分かれている。バトルガレッガよろしく立ち回り次第でランクが上昇し、難易度が跳ね上がる無慈悲なシステムが特徴で、スチームパンクな世界観でボスがすべて女性という徹底ぶりが独特な魅力を醸している。後にPS2に移植されたほか、ランクシステムを見直して難易度調整を施したブラックレーベル版が登場した。

本作の音楽を担当するのは細江慎治氏。音楽制作会社スーパースィープの代表で、ケイブ製の作品では本作以前にエスプガルーダPS2移植版の編曲を手がけた経験がある(CS版の発売元がかつて氏の在籍していたアリカであるためか)。また、本作と関連性の深いバトルガレッガについてもセガサターン移植版の編曲に携わっている。本作では硝煙に包まれたスチームパンクな作風にあわせて、エレキギターやオルガンを用いた攻撃的なロックサウンドが揃っている。サウンドトラックについては、本作の楽曲を未使用曲や一部のアレンジ曲とともに収録しているものに加え、ブラックレーベル版の追加曲とリミックスを収録したものも存在する。

STAGE 1「破壊と共に始めましょう」で流れるのがこの曲である。「ワタクシタチガ キレイニ シテアゲル」というローズ・ガーデンの宣戦布告ボイスが挿入された後、工場が立ち並ぶ港町を舞台に激しい攻防が繰り広げられることになるが、そうしたゲーム開始直後の局面をダークでクールなヘヴィメタルが鮮やかに彩る。エレキギターの重厚な音色に、華やかで美しく、そして退廃的な響きを帯びたハープシコードクワイアが重なることで、息が詰まるほど重苦しく、それでいて心底痺れるような疾走感を生み出す。すでに十分盛り上がっているなかで、さらにまた52秒からのサビで天井知らずの昂揚感をもたらすと、その勢いを受け継ぎつつ1分5秒でループに入り、再度ハイテンションな轟音を響かせる。破壊と殺戮のショータイム、その幕開けを飾るにふさわしい一曲である。

恐怖を覚えるような格好良さです。フィンランドのメタルバンド・Stratovariusの曲によく似ていますが、本作が北欧モチーフであるがゆえのオマージュでしょうか。

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