VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#941 『edge of the world』(Shade/Lanota/iOS・And)

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Noxy Gamesがおくる絵本風ロールプレイング音楽ゲーム・Lanotaより、

Shade作曲、『edge of the world』。Chapter IVの収録曲の一つ。

台湾のインディーゲームスタジオ・Noxy Gamesの代表作にあたる本作。アル・ニエンテと呼ばれる災いにより色と音が失われた世界で、唯一アル・ニエンテに対抗し得るエネルギー濃縮体・ノタリウムを活性化すべく、主人公の少年・リツモは、天才少女・フィシカが設計したノタリウム調律装置を使い、調律の旅に出ることになる。音楽に合わせて中央から外縁に向けてノーツが降ってくるノタリウム調律装置(円盤状の判定ライン)を操作するリズムゲームで、円盤そのものが回転したり拡大・縮小したりする大胆なギミックが存在する。さながらRPGのようなメインストーリーが用意されていて、絵本を読み進めるような感覚で物語が語られる点が特徴である。本格的なシナリオと、乱舞する円盤によるダイナミックなゲーム性とが調和した仕上がりとなっている。後にスイッチに移植された。

本作は現在までに100を超えるアーティストたちによる250曲以上の楽曲が収録されている。台湾はもちろん、日本の作曲家も多数参加している。フリーランスのShade氏もその一人で、主にアダルトゲームを手がけてきた氏としては珍しく、音ゲーへの楽曲提供(1曲のみ)をおこなっている。本作ではメインストーリーが進むにつれて新曲が解禁されるほか、追加の課金要素として買い切り型のサイドストーリーやエキスパンションなどもあり、絵本のような世界観に沿ったファンタジックな楽曲を中心に、ボーカル入りのものも含めて様々なジャンルが取り揃えられている。

2018年6月のアップデートで追加されたメインストーリーのChapter IV「果てしない大空へ」のなかの収録曲の一つがこの曲である。物憂げなピアノイントロでメランコリックな雰囲気を漂わせるのも束の間、エレキギターにシンセにストリングスが相次いで押し寄せることで、憂いは疾走感に取って代わられる。ハイテンションに突き進むなかでも時折、48秒からのフレーズや1分半頃のフレーズのようにイントロの静けさに回帰する場面があり、そのたびに静けさから激しさへと移り変わる様子を堪能できる。1分55秒からのラストスパートで一際力強い盛り上がりを見せると、アウトロは再び静寂へと沈んでいく。譜面に関しては、終盤にかけて畳みかけるような配置が待ち受けるだけでなく、(難易度によっては)序盤からトリッキーなFlickがあるなど、メリハリ豊かな曲調にふさわしい手強さを持つ。

2分20秒らへんのシャウトするようなギターが圧巻ですね。