VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#951 『Prison』(削除/CRYSTAR -クライスタ-/PS4)

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フリューがおくる泣いて戦うアクションRPG・クライスタより、

削除作曲、『Prison』。糾弾ノ檻で流れます。

フリューの完全オリジナル作品として登場した本作。妹とともに異世界に迷い込んだ少女・幡田零は、異形の敵に襲われて異能力に目覚めるも、制御できぬまま妹を自ら殺めてしまい、妹を蘇らせるために悪魔と契約して苦しい戦いに身を捧げることになる。繊細なキャラクターデザインと、暗澹としつつもドラマチックな作風が特徴で、アクションは動作の硬直が多め、ダンジョンも仕掛けがなくやや単調だが、生と死、罪悪感や焦りなどで揺れ動く少女の心の機微を描いた情緒的なシナリオで魅せてくれる。やり込み要素は薄いが周回前提の物語構成で、世界観重視で独創的な美しさを誇る意欲作に仕上がっている。後にSteamに移植された。

本作の音楽を担当するのは削除氏。音楽制作サークル・Diverse Systemに所属する作曲家で、Sakuzyo名義でも知られる。主にBMS音楽ゲーム界隈で活躍することが多く、作品を丸ごと単独で担当するのは本作が初めてである。普段とは異なるRPGのジャンルにおいても氏の音楽性は健在で、本作では流麗なピアノやストリングスに、ドラムンベースやトランスなどの電子音楽的な要素を加えた珠玉の楽曲が揃っている。サウンドトラックはボーナストラック付きで3枚組で収録されている。

3番目のダンジョンにあたる糾弾ノ檻で流れるのがこの曲である。野性的とも魔術的ともいえる謎のボイスが印象的なイントロから始まり、30秒で華やかなストリングスが奏でられる。妖艶なコーラスやマンドリンを思わせる撥弦楽器の音色を要所要所に響かせながら、疾走感と焦燥感が綯い交ぜになったような旋律が紡がれていき、1分25秒でしばらく弦の独壇場となるも、その後は再び元の曲調へと回帰する。2分あたりで変化を見せると、続く2分14秒からは電子的な色味が強まり、後半にかけて不穏さに磨きがかかる。3分を過ぎると本格的にディストーションを利かせるようになるが、それでいてなお華美な勢いは衰えず、ストリングスの高音が力強いカタルシスを生み出す。癖になるような奥深いメリハリに満ちた一曲である。

この絵にこの音を組み合わせるセンスが素敵です。ちなみにまったくの余談ですが、曲の冒頭を聴くと『Battle on the Holy Plane』を思い出します。あれもすごく好きです。

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