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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#964 『Battlefield ~ 戦場』(増子司/デジタル・デビル物語 女神転生/FC)

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西谷史著の伝奇SFを原作とする、アトラスがおくるRPG・デジタルデビル物語より、

増子司作曲、『Battlefield ~ 戦場』。通常戦闘で流れます。

西谷史氏のSF小説デジタル・デビル・ストーリー」のゲーム化作品として登場した本作。出来心で自らがつくり上げた悪魔召喚プログラムによって、実体化した悪魔たちが人間を襲ってしまい、窮地に立たされた天才プログラマーの高校生・中島朱実は、転校生の美少女・白鷺弓子とともに、人間界制服を企む大魔王ルシファーに立ち向かうことになる。オーソドックスな3DダンジョンRPGで、様々な神話の神や悪魔が一堂に会するごった煮の世界観や大まかなキャラ設定は原作を踏襲している一方で、物語はゲーム独自のものである。戦闘で悪魔と交渉して味方に加える仲魔システムと、悪魔同士を融合させて別の悪魔を生み出す悪魔合体システムが特徴で、今でこそシリーズの定番だが、当時としては非常に斬新な目玉要素だった。ダンジョンの広大さゆえにマッピング必至の難度を誇るなど、歯応えのある仕上がりとなっている。後に続編とあわせてスーファミ向けにリメイクされた。

本作の音楽を担当するのは増子司氏。当時アトラスに所属していた作曲家で、本作以降、初期の女神転生シリーズに多く携わることになる。本作ではファミコンの素朴な音源で、背徳的なダークファンタジーの作風に見合った焦燥感あふれるサウンドを実現している。重厚なロック調の戦闘曲をはじめ、シリーズの音楽の方向性を印象付けるような迫力ある楽曲群が揃っている。サウンドトラックは1・2の楽曲がオリジナルおよびアレンジ音源であわせて収録されていて、同梱されているブックレットの内容が充実している。

通常戦闘で流れるのがこの曲である。サイレンのようなイントロから始まり、スピーディーなテンポで小刻みな低音を奏でる。さながら破裂音のごときパーカッションが印象的で、12秒や20秒あたりで、緻密に敷き詰められた音色に代わって開放的な高音が響くことで、重々しくもリズミカルな躍動感を漂わせる。1ループ23秒という短さで音数も限られているが、まったく物足りなさを感じさせないほど、全編にわたって戦闘のスリルと臨場感に満ちあふれている。戦闘曲の醍醐味をしっかり押さえた一曲である。

この曲のフレーズはゲームオーバーのジングルにも使われています。ゲームオーバーになると、次に戦うボスがこちらに向けて挑発する台詞を吐いてくるんですが、その演出がまた曲と相まって味があるんですよね。ゲームオーバーの曲、それから一連のゲームオーバーをまとめた動画もあわせてどうぞ。

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