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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#967 『シューティング・ワールド』(荒川憲一・西村達也/ゲーム天国/SS)

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ジャレコがおくる超ハイパーおちゃらけシューティング・ゲーム天国より、

荒川憲一・西村達也作曲、SS移植版の『シューティング・ワールド』。

ステージ3で流れます。

ジャレコのキャラが一堂に会するクロスオーバー兼セルフパロディ系のアーケード用縦スクロールシューティング・ゲーム天国のセガサターン移植版にあたる本作。ゲーセンで働くバイト店員・伊藤由紀は、ゲーム機を乗っ取って世界征服を企む変態科学者・ジーニアス山田の野望を阻止すべく、ゲーム基板を直列繋ぎでくっつけて、ごった煮と化したゲーム世界の主人公たちにジーニアス討伐を託すことになる。アーケード版のとことんはっちゃけた雰囲気はそのままに、移植に際して原作再現のモードのみならず新キャラや新ステージ、幕間のデモなどが追加されたアレンジモードも搭載されている。キャラ重視の作風ながらもシューティングそのもののつくりは硬派、とはいえ新たにピンチのときに自動でボンバーを発動できるオートボンバー機能が加わるなどの救済要素もあり、家庭用機で手軽に楽しめる仕上がりとなっている。後にPS4とPCに再移植され、さらにその完全版がスイッチも含めた3機種に登場した。

本作の音楽を担当するのは荒川憲一氏と西村達也氏。いずれも当時ジャレコに所属していた作曲家である。このうち荒川氏は続編でも作曲している。原作の作曲者は澤和雄氏だが、移植にあたってアレンジではなく全曲差し替えられている。原作も移植版も概ねコミカル+ときどきシリアスという路線の音楽性で共通しているほか、移植版ではボーカル付きのOP・ED・挿入歌が取り揃えられている。サウンドトラックは長らく存在しなかったが、発売から19年後(再移植の1年前)にようやく登場し、本作に加えて原作や続編の音源もまとめて収録されている。

本作ではステージごとにモチーフとなるジャンルが設定されている(たとえばクレーンゲーム、レースゲーム、レトロゲームなど)が、そのなかのシューティング面で流れるのがこの曲である。適度に緊張感のあるミドルテンポのリズムのもと、渋くて味わい深い低音のベースラインや、パンフルートを思わせる笛の旋律が絡み合うことで、シューティングサウンドならではの絶妙なテンションを生み出している。笛が響くのは最初のうちだけで、ギターや電子オルガンと思しき音色で即興風のフレーズを次々と奏でていく。ループに入る直前の49秒に分かりやすく効果音を入れることで調子を整え、再度はじめから曲が繰り返される。シューティングゲームのなかのシューティングの世界に没入感たっぷりに浸れる一曲である。

ずっと聴いていられる独特な心地良さがあって大好きです。原作のシューティング面で流れるのも味がある良曲ですので、あわせてどうぞ。

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