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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#976 『Code Red』(足立賢明/FREEDOM WARS/PSV)

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SCEがおくる"奪還"マルチプレイアクション・フリーダムウォーズより、

足立賢明作曲、『Code Red』。スタッフロールなどで流れます。

SCEジャパンスタジオ、シフト、ディンプスの三社による共同開発作品として登場した本作。荒廃した近未来を舞台に、長期的・効率的な安全保障を実現すべく、誰しもが厳しい監視下に置かれ、生きているだけで100万年の懲役を科されるなか、主人公は減刑のためにボランティアという名の戦闘任務に赴くことになる。マルチプレイ対応で任務を繰り返しこなしていく狩りゲー的なゲームサイクルに、武器は銃火器がメインというTPS的な側面、伸縮自在で移動のみならず陽動や回復にも応用できる特殊兵装・荊を用いたアクション要素が、苛烈なディストピアの世界観のもとで融合している点が特徴である。一方で、バランス調整に粗がある、シナリオが消化不良気味、ボリュームが薄味であるなどの面もある。キャラメイクの面白さや世界観そのもののキャッチーさが光る意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのは足立賢明氏。SCE専属(≠所属)のサウンドクリエイターで、本作では全曲を単独で作曲しているうえに、サウンドプロデュース・編曲・効果音・マニピュレーションまで包括的に手がけている。本作では徹底的な管理体制が敷かれる作風にあわせて、ハードなデジロックやテクノを軸に、コーラスやオーケストラも交えたハイブリッドなシンフォニックサウンドが揃っている。サウンドトラックは3枚組で収録されている。

終盤のボランティア「セ7-3号懸河作戦:目標到達」やスタッフロールで流れるのがこの曲である。『Code RedⅡ』『Code RedⅢ』『Jerusalem』などの多数の楽曲でリミックスされている、メインテーマ同然の象徴的な一曲で、曲冒頭からエレキギターの熱い音色で機運を盛り上げてくれる。イントロ明け、主旋律が入る直前に三連続のオーケストラヒットが鳴ることで、続くメロディーラインの勇ましさを一際力強く印象付ける。伴奏にギターリフを伴いながらストリングスの華やかな演奏が紡がれると、1分50秒あたりで今度はボーカルが入り、聴解不能な謎の言葉で幻想的に歌い上げる。歌が終わる2分15秒頃に折よく再度ギターが参戦し、そのままの勢いで次のループに突入する。過酷な世界で戦い抜く悲壮な覚悟を滲ませた一曲である。

曲は本当に痺れるほど格好良くて好きです。『Jerusalem』も焦燥感あふれる曲の立ち上がりから流麗なメロディーへと繋がっていくさまが見事です。あわせてどうぞ。

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