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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1000 『午後0時(晴)』(戸高一生/あつまれ どうぶつの森/NS)

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任天堂がおくるコミュニケーションゲーム・どうぶつの森より、

戸高一生作曲、あつ森の『午後0時(晴)』。晴天時の正午に流れます。

のどかなスローライフを楽しむどうぶつの森シリーズのうち、スイッチ向けに登場した本作。何もない無人島にやってきた主人公は、ゼロから暮らしを形作っていくことになる。住民との交流、釣りや虫取り、ローン返済やカブの売買などのおなじみの要素に加えて、新たに材料とレシピを揃えて道具や家具を自作するDIYに重きを置いていて、自分の手で島の生活を充実させることができる。建物の位置や川の形など、島全体の景観を自分好みに変えられるようになり、今までになく自由度の高い暮らしを送れるようになった。誰でもとっつきやすいゲーム性と、工夫次第でなんでもできる奥深さを併せ持つ仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは岩田恭明氏、大橋征人氏、高橋優海氏、土肥紗也子氏、戸高一生氏、永田しのぶ氏。いずれも任天堂に所属する作曲家である。このうちサウンドディレクターを務める戸高氏は初代からシリーズに連綿と携わっている。また、永田氏(旧姓は田中)は初代と+以来、久々のシリーズ復帰である。本作ではシリーズ初となる生演奏録音を採用し、従来通りの牧歌的なサウンドを中心に揃えつつ、時間帯や天候による変化はもちろん、物の配置や歩行時・非歩行時などで微妙に響き方が変わるなどのインタラクティブな試みが随所に散りばめられている。サウンドトラックは天候ごとのアレンジやラジオのジングルなども含めたものが4枚組で収録されているほか、とたけけソングのインストゥルメンタル版が別途3枚組で収録されている。

晴れの日の午後0時台に流れるのがこの曲である。正午の時間帯を彩るにあたって、アコースティックギターを中心とした明るく晴れやかなメロディーが紡がれる。ギターが奏でるリズムパターンをなぞるようにドラムが付き添うことで、しっとりとした音色ながらも歯切れの良さを感じさせるような前向きなエネルギーを漂わせる。40秒ほどしたところで多少曲調に変化はみられるものの、基本的にはあまり大きく変わることなく似たり寄ったりのフレーズを反復し、いつまでも聴いていられるような朗らかさを維持し続ける。一日の折り返し地点である午後の始まりを心地よく印象付ける一曲である。

おかげさまで本稿をもって1000曲目に達しました。以降も更新を続けます。雨の日は木琴がよく映えるアレンジで、雪の日は雨のテーマを軸にスレイベルなどが加わって煌びやかになったアレンジです。ついでに戸高さんらが直々に登壇された、あつ森サウンドに関する非常に興味深い講演の記事があるので、よろしければあわせてどうぞ。

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