VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1006 『Main Theme』(Rob Hubbard・Ron Klaren/Battle Squadron/MD)

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Cope-Comがおくるシューティング・Battle Squadronより、

Ron Klaren作曲・Rob Hubbard編曲、『Main Theme』(仮称)。

ステージ道中で流れます。

デンマークデベロッパー・Cope-Comが開発し、Electronic Artsが販売したAmiga版原作の移植にあたる本作。全宇宙の支配を企むBarrax Empireに捕まった恐れがあるEarth Defense Fleet所属の二人の司令官を救援すべく、最新鋭の自機で敵に立ち向かうことになる。アイテムを拾うと使えるショットが変わる仕組みの縦スクロールシューティングで、開始直後に訪れる地表面から三つの穴に侵入して各面のボスを撃破することで、再び地表面に戻るとラスボスが現れるという変則的な4面構成である。全体的にビビッドな色彩と、敵がやや固めなうえにステルス機も登場するタフなゲーム性が特徴で、オプションから弾速や残機など好みに応じて調整できるものの、総じて難易度は高めかつバランスは大味である。2人同時プレイに対応しているアーケードライクなシビアな仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはRob Hubbard氏。原作の作曲はRon Klaren氏によるものである。Hubbard氏は当時Electronic Artsに所属していたイギリス出身の作曲家で、Klaren氏はオランダ出身の作曲家である。いずれもコモドール64時代から作曲していて、Hubbard氏は移植に際する編曲を手がけている。本作では原作同様、収録されている楽曲数はぜんぶで4曲とすくなめで、メガドライブの金属質なFM音源にあわせて原曲よりも派手やかな印象を与えるようなアレンジが施されている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

ステージ道中、ボス戦はもちろんラスボス戦も含めて流れ続けるのがこの曲である。中低音を奏でる伴奏に、メタリックな主旋律が重なるヒロイックな曲調が印象的で、2拍ごとに炸裂するようなドラムが響くことで、重厚ながらも小気味良いテンポ感をつくり出している。33秒からは短音が目立つようになり、一つ一つの音の長さが削られたことにより、さらなる歯切れの良さと焦燥感を生む。メロディーラインそのものの勇ましさと、音の長さや質感が生み出す独特な緊迫感が見事に融合した一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。Amiga版原曲は冒頭に風の唸り声みたいな長めのイントロがあって、次いで入る主旋律はややマットな雰囲気ですが、代わりにパーカッションや効果音の主張が激しめです。曲で遊んでいる感じが強い、と言えるかもしれません。あわせてどうぞ。

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