VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1007 『震える心』(福田考代/Asura's Wrath/PS3・X360)

www.youtube.com

サイバーコネクトツーがおくる体感型連続活劇アクション・アスラズラースより、

福田考代作曲、『震える心』。第1話やエンディングなどで流れます。

サイバーコネクトツーが開発し、カプコンが販売した本作。大地の不浄から生まれた魔物・ゴーマの脅威にさらされる神話の世界を舞台に、濡れ衣の罪を着せられ、妻を殺され、娘を攫われて死んだ主人公・アスラは、地獄から蘇って凄絶な復讐劇に身を投じることになる。ムービーの合間に挟まれるアクションパートやQTEをこなしていくアクションゲームで、各話にAパート・アイキャッチ・Bパート・次回予告が存在する徹底したドラマ仕立てとなっている。実際に操作できる場面はすくなめで全体のボリュームも抑えめだが、映像に注力した大迫力の演出の数々と、神話的ともSF的ともいえる濃厚な世界観が特徴である。怒れる主人公の悲壮感に満ちた半生を追体験できる意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのは福田考代氏。サイバーコネクトツーサウンドユニット・LieNに所属する作曲家である。同じくLieN所属でボーカル担当の三谷朋世氏も本作で歌唱している。本作では壮大な作風に見合った臨場感あふれるオーケストラサウンドが揃っていて、ボーカル入りはもちろん、一部はクラシック音楽からも引用している。また、東洋風の雰囲気づくりのために民族楽器を取り入れた曲もすくなくない。サウンドトラックは主題歌含め2枚組で収録されている。

本作の主題歌として、開始直後の第1話をはじめ、作中の複数のイベント、さらにはエンディングにおいても流れるのがこの曲である。ハープと神楽鈴による幻想的なイントロで始まり、10秒頃から三谷氏の歌声が加わると、声に寄り添うようにオーケストラの伴奏が追従する。核心を突くように問いかける歌詞が、徐々に盛り上がっていく曲調とシンクロしてしたたかな儚さを蓄え、55秒でサビに達すると、一気にすべての感情を出し切るかのように声と器楽が重なり合う。メインのボーカルの他にも時折妖艶なコーラスが響くことで、悲痛なストリングスや勇壮なブラス共々、曲全体を通しての没入感をぐっと高めてくれる。二度目のサビとなる2分以降は太鼓の演奏が目立つようになり、歌と間奏を繰り返しながら、幾度となく悲劇的なカタルシスを生む。最終的には再び問いかける歌詞で締め括ることで、胸に刻まれるような余韻を残す。怒りに燃え、復讐に身を窶す生き様に、哀しくも優しく、それでいて力強く寄り添う一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。主題歌だけあって、『震える心(instrumental)』『震える心(ピアノソロ)』『震える心(エスニックアレンジ)』といろいろバージョン違いがあります。ぜんぶあわせてどうぞ。 

www.youtube.com

 

www.youtube.com

www.youtube.com