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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1015 『Blooming Villain』(目黒将司/ペルソナ5/PS3・PS4)

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アトラスがおくるRPG・ペルソナより、

目黒将司作曲、5の『Blooming Villain』。パレスのボス戦で流れます。

現代日本を舞台にしたRPG・ペルソナシリーズのナンバリング5作目にあたる本作。訳あって都内の高校に転入した主人公は、転入初日に謎の異世界・パレスに迷い込み、運命に抗うペルソナ能力に目覚めたことを機に、似た境遇の仲間たちとともに世の悪党どもを改心させる心の怪盗団として暗躍することになる。従来の作風にダークヒーロー風味をプラスしたピカレスクジュブナイルもので、授業を受けたり仲間と交流したり恋愛したりする学生ライフと、パレスに挑んで悪人と対峙する怪盗ライフの二重生活を送ることができる。戦闘面では弱点を突いて追加行動を得る1MOREシステムを軸に、新要素として追加行動時に他のパーティメンバーにターンを受け渡せるうえに攻撃力などが上昇するバトンタッチが追加され、連携の爽快感が増した。リアル寄りに進化したビジュアル、反体制を描く濃密なシナリオなど、総じてボリューム満点かつ洗練された仕上がりとなっている。後に新キャラや追加エピソードを搭載したザ・ロイヤルが登場した。

本作の音楽を担当するのは喜多條敦志氏、小塚良太氏、小西利樹氏、土屋憲一氏、目黒将司氏。いずれもアトラスに所属する作曲家(目黒氏のみ退社済み)で、本作以前にもペルソナシリーズでの作曲経験がある。アトラス所属のコンポーザーが集結しているだけあって、シリーズおなじみのサウンド面の完成度は本作でも健在である。本作の特徴としてはアシッドジャズ系の心地良いグルーヴ感が漂う楽曲や、ギターやストリングスを多用したハードな戦闘曲などが揃っていて、ボーカル曲ではLyn氏のソウルフルな歌声がフィーチャーされている。サウンドトラックは3枚組で収録されている。

パレスのボス戦で流れるのがこの曲である。パレスは人の歪んだ認知が生み出す異世界のことで、ボスとして対峙する存在はパレスの主、つまりは主人公ら心の怪盗団のターゲットである。一癖ある手ごわい強敵との戦いを、イントロから圧迫感のあるエレキギターとドラムでパワフルに彩る。しばらくはフレーズの反復が中心で執拗に焦燥感を煽るが、1分10秒からのサビでは満を持して小細工なしのストレートなメロディーを奏でる。熱く、激しく、それでいて泣きが効いた力強い旋律が、両者とも譲れない戦いを緊張感と昂揚感たっぷりに盛り上げる。サビに至るまでエネルギーを蓄積し、サビで一気に解放し、ループ後は再び溜めて、サビで再解放する、という一連の曲展開の鮮やかさによって、脳裏に焼き付くようなインパクトを誇る一曲である。

12曲まとめていただいたリクエストの第2弾です。アレンジはP5Dの小西さんの『Blooming Villain ATLUS Konishi Remix』と、P5Sの増岡郷太さんの『Blooming Villain -Scramble-』ですね。前者は原曲を尊重しつつもダンサブルな雰囲気で、後者は爽快感と疾走感重視でしょうか。あわせてどうぞ。

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