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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1035 『硝煙と砲火の舞踏会』(浅田靖/天華百剣 -斬-/iOS・And)

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電撃G’sマガジンのメディアミックス作品群を原作とする、

DeNAがおくる美少女剣撃アクションRPG・天華百剣より、

浅田靖作曲、斬の『硝煙と砲火の舞踏会』。煉獄戦で流れます。

刀剣の萌え擬人化プロジェクト・天華百剣のうち、アプリ向けの企画として登場した本作。明治ならぬ銘治時代を舞台に、刀剣たる少女・巫剣を率いる巫剣使いに就任した主人公は、少女たちとともに闇に潜む怪物・禍憑に立ち向かうことになる。メインストーリーに沿って進めるアドベンチャーパートと、2Dベルトスクロール型でコンボを繋げてバトルするアクションパートがあり、登場する巫剣は100振りを超える。刀らしくお手入れをしてスキンシップできる要素もあり、絆を深めることで特別なエピソードを閲覧したり新たな能力を発現させたりできる。キャラ重視の美少女モノ×ベルトアクションとしてそつなくまとまった仕上がりとなっている(現在はサービス終了済み)。

本作の音楽を担当するのはbassy(石橋弘史)氏、YASU(山崎泰之)氏、浅田靖氏、すえ♪氏、藤宮圭氏、古川典裕氏、めと氏。bassy氏と藤宮氏は主にPCゲーム音楽などを手がけるフリーの作曲家で、YASU氏はドラマやアニメなど幅広い分野で活躍する作曲家兼笛奏者、浅田氏は音楽制作会社ノイジークローク所属、古川氏は元タイトーで現在はフリーの作曲家、めと氏は個人サークル・Metomateを運営するソロのサウンドクリエイターである。1曲のみの担当であるすえ♪氏に関しては情報がすくなく正体が判然としない。本作では和楽器、特にYASU氏が演奏する篠笛などを軸とした華やかな楽曲が大半を占め、穏やかで落ち着きのあるものから、戦闘曲を中心に情熱的なものまで揃っている。また、作中で流れるキャラクターソングも数多く、ボーカル曲は音楽制作会社MONACAをはじめ様々なアーティストが楽曲を書き下ろしている。サウンドトラックは主題歌を除きインゲームのBGMが収録されている通常盤のほか、各種キャラソンのシングルやアルバムが存在する。

禍憑のなかでもとりわけ強大な力を持つ彼岸五将の一将・煉獄との戦いで流れるのがこの曲である。赤い髪に青い肌、蛇のような触手を持ち、画面を覆い尽くすほどの炎を操る敵との激闘を、非常に濃密なロックナンバーで彩る。イントロからハープシコードエレキギターの重厚な音色で只ならぬ威圧感を印象付け、13秒から主旋律が入ると烈火の如き勢いで猛進していく。熱量たっぷりに奏でられるメインメロディーの裏で、激しく拍を刻むドラムと、優雅でありながら焦慮を誘うストリングスの伴奏が付き添い、圧倒せんばかりの臨場感を漂わせる。サビ手前の51~53秒あたりで咆哮するようなギターが響くと、続く旋律をいっそう派手に盛り上げ、脳裏に焼き付くインパクトを生む。和の世界観にあって、あえて和ロックではない西洋風のゴシックロックを追求した一曲である。

和ロックというと同じく浅田さん作曲で『いざ咲き誇らん!』が印象深いですね。あわせてどうぞ。

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