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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1047 『Itto-Kan Drum』(中風大輔/CARNAGE HEART EZ/PS)

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アートディンクがおくる思考バトルシミュレーション・カルネージハートより、

中風大輔作曲、EZの『Itto-Kan Drum』。

作中の音楽設定で選べる楽曲の一つで、タイトル画面でも流れます。

初代カルネージハートのマイナーチェンジ版にあたる本作。無人ロボット兵器・OKEのハードウェア(機体そのものや武装など)とソフトウェア(行動パターンや戦闘プログラムなど)を設計し、自作のOKEで敵基地を占領していくことになる。基本的なシステムやゲーム内容は無印版と共通しているが、チップ単位で細分化されていたプログラムに対し、行動別にブロック化してプログラミングの実例を示すEZマクロが新規導入されたことで、初見でもルーチンが組みやすくなった。また、設計画面のレイアウトがリファインされて視認性や使い勝手が向上したほか、新たにVSライブラリという、公式大会の優勝者らの機体などの厳選されたOKEデータを相手に戦える一人用の対戦モードが追加された。武器の性能や機体の挙動、グラフィックの強化など、広範にわたるゲームバランスの調整が施されていて、前作以上に長く遊び尽くせる仕上がりとなっている。後にゲームアーカイブスで配信された。

本作の音楽を担当するのは中風大輔氏。当時アートディンクに所属していた作曲家である。カルネージハートシリーズには本作とゼウス2に携わっている。前作(作曲は田中耕介氏と村上慎吾氏)からは楽曲が一新されているが、音楽の方向性は相変わらずドラムの効いたストイックなインダストリアル系で統一されている。前作同様、設計の際のお供に、音楽設定から任意の楽曲を選んで流すことができる。サウンドトラックに関しては、エクサの早期予約特典としてシリーズのサウンドを収録したものに本作の音源も含まれるが、一部未収録の楽曲が存在する。

タイトル画面で流れる本作の顔であり、音楽設定で選択できる曲の一つでもあるのがこの曲である。銃声と聴き紛うような激甚なドラムイントロから始まり、ギターが入ってからも主役の座を譲ることなくドラムが乾いた破裂音を響かせ続ける。似た調子のフレーズを奏で続けるが、その間ずっとドラムは大音量で鳴り続け、重低音を響かせるベースよりも重く激しく自己主張する。明確な音階こそ伴わないが、ドラムが主旋律を務めていると言っても過言ではないほどの力強い存在感を放っている。これから設計を始めるタイトル画面、および設計中に流す作業用の楽曲として、非常に歯切れの良い硬派な印象を与える一曲である。

この曲のインパクトが強いあまり、普段の生活で一斗缶を見かけると、頭のなかで曲が鳴り出すのですが、おかげで一斗缶と出会うのが楽しみになります。