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#1074 『戦乱 その忌むべき名を呼べ』(古代祐三/世界樹の迷宮III 星海の来訪者/NDS)

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アトラスがおくる3DダンジョンRPG世界樹の迷宮より、

古代祐三作曲、3の『戦乱 その忌むべき名を呼べ』。裏ボス戦の第二形態で流れます。

自分好みのパーティを組んで白地図マッピングしつつダンジョンを攻略する世界樹の迷宮シリーズの3作目にあたる本作。プレイヤーは冒険者となり、100年前に沈没した巨大国家があると噂される海都・アーモロードの海底迷宮に挑戦することになる。いつもの迷宮探索に加えて、本筋とは異なる寄り道要素として海を冒険する航海システムが追加された。一度の航海で動けるターン数は、あらかじめ船に積載した食料で決まり、食料が尽きるまで交易したり依頼をこなしたりして各地を回り、マッピングで海図を埋めていく。潮流や暗礁など大海原ならではのギミックも充実していて、限られた手数で攻略するパズルのような遊びを楽しめる。メインの迷宮探索に関しては、職業がすべて一新されたうえでサブクラスという二つ目の職業が搭載されるようになり、戦略とパーティ編成の幅が広がった。また、シリーズ初のマルチエンディング制を採用しているほか、従来と比べて全体的なゲームバランスも調整されている。新要素を多く含んだ意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのは古代祐三氏。シリーズすべてに携わっているおなじみの作曲家である。ハードを3DSに移す次作以降は生の楽器を用いるようになるが、本作までは馴染み深いレトロサウンドが揃っている。特に戦闘曲がどれも入魂の逸品で、勇ましさと重厚感のバランスがうまく調節された切れ味抜群の楽曲を堪能できる。サウンドトラックは通常盤のほか、スーパーアレンジバージョンや予約特典のアウトテイク版が存在する。

隠しボス戦の第二形態で流れるのがこの曲である。第一形態は『戦乱 散るもかなり』(初代の『戦場 散るもかなり』のアレンジ)で、かなり重めな威圧感に満ちているが、第二形態に切り替わると、重々しさを受け継ぎつつアップテンポな曲調へと推移する。イントロからバリバリのメタル調で豪猛な勢いを印象付け、強敵と対峙する絶望感を脳に刷り込むと、42秒あたりで流れが変わる。激しいなかにもすこし泣きが感じられるようなメロディーを奏でた後、1分3秒からは即興風の間奏で狂気的な盛り上がりを見せる。異次元の死闘を彩るにふさわしい激烈な圧迫感を漂わせる一曲である。

曲から滲み出る殺気が強いですよね。第一形態で流れる『戦乱 散るもかなり』、それからXのアレンジ版(編曲:上倉紀行さん)の『戦乱 その忌むべき名を呼べ (世界樹の迷宮X Ver.)』もあわせてどうぞ。

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