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#1120 『Black desire』(鈴木貢/バトルギア3/AC)

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タイトーがおくるレースゲーム・バトルギアより、

鈴木貢作曲、3の『Black desire』。弩級コースで流れます。

タイトーによるアーケード用レーシング・バトルギアシリーズのナンバリング3作目にあたる本作。座席が二つ連なった新筐体が導入され、シリーズ初のネットワーク対戦が可能となった。プレイヤーデータと結びつく専用のキー型認証装置を用いることで、全国のゴーストカーとタイムアタックに挑んだり、車の見た目をいじったりすることができる。コースは超初級から超弩級まで7つ、登場車種は国産メーカーより57種で、前作と比べて一段とグラフィックが強化されている。コーナリングにはしっかりとした減速が必要など、相変わらず挙動は本物らしさを追求しているが、サイドブレーキを使ってドリフトを決めるといった爽快感も味わえる。自分だけのキーを差し込んで愛車を乗り回す感覚を楽しめる仕上がりとなっている。後にPS2に移植されたほか、追加要素を加えたアーケード向けのアッパーバージョンであるTunedが登場した。

本作の音楽を担当するのは鈴木貢氏。音楽制作会社サウンドウェイブに所属する作曲家である。これまでは(前身となるサイドバイサイドシリーズも含めて)高萩英樹氏などタイトーの作曲家が手がけてきたが、本作から外部のコンポーザーが参加することになった。従来通りのロック調を継承しつつ、より歪みの効いたノイジーサウンドが揃っている。また、順走と逆走によってデフォルト曲が異なる仕組みで、過去作の楽曲も聴くことができる。サウンドトラックはTunedの追加曲やボーナストラックも含めて収録されている。

弩級コースで流れるのがこの曲である。おなじみ榛名山をモチーフにしたダウンヒルのコースで、狭めの道幅と連続するヘアピンカーブが特徴である。小刻みに奏でられるギターが印象的なイントロで始まり、13秒から張り詰めた空気感を漂わせる高音の伴奏が入ると、徐々にテンションが高まっていく。25秒で一瞬だけ小休止すると、すぐさまギターとドラムが激しく荒ぶり出し、さながら火に油を注いだような猛烈な勢いを見せつける。38秒で顕著なリフが入るが、旋律らしい旋律が加わるのはまだ先で、51秒になってようやく曲が本格始動する。しばらくは小気味良いビートとともに伸び伸びとギターが響くが、1分17秒で再び獰猛さを取り戻す。1分55秒あたりで流れが変わると、一気に重苦しい雰囲気へと様変わりするも、2分20秒でまた一転して電子オルガンを交えてアップテンポに疾駆する。その後、一旦ループに入ったかのような素振りをみせるが、曲終盤の3分50秒になって新パートが追加されるなど、最後までループしない構成になっている(終わるとまた曲冒頭から再生される)。緩急の効いた曲調で並々ならぬ緊張感を漂わせる一曲である。

榛名山といえば2の『Midnight』(作曲は高萩さん)も格好良いですね。あわせてどうぞ。

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