VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1143 『フルスロットル・テンタクル』(峰岸透/スプラトゥーン2/NS)

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任天堂がおくるアクションシューティング・スプラトゥーンより、

峰岸透作曲、2の『フルスロットル・テンタクル』。フェスマッチで流れます。

インクに潜れるイカ同士が撃ち合うスプラトゥーンシリーズのナンバリング2作目にあたる本作。通常時は人型だがインクのなかではイカの姿になって潜れる生き物・インクリングを操作し、試合形態に応じてチーム対抗で戦うことになる。前作でもおなじみのナワバリバトル(塗りつぶしたインクの面積を競う)、ガチエリア(定められたエリアを占領する)、ガチヤグラ(ヤグラを漕いでゴールを目指す)、ガチホコ(ホコを担いで敵陣まで運ぶ)の4種類のルールに加えて、アップデートを経てアサリを拾い集めてゴールに投げ入れる新ルール・ガチアサリが登場した。また、対戦ではなく協力プレイできるモードとして、WAVE制で迫りくるシャケを撃退してイクラを集めるサーモンランという遊びが導入された。一人用のヒーローモードや期間限定で開催されるフェスマッチも健在であるほか、新たなブキや必殺技、ステージなどが数多く追加された。前作から基本的なゲーム性を受け継ぎつつ、装いを新たにしてパワーアップした仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは永松亮氏、早崎あすか氏、藤井志帆氏、峰岸透氏。永松氏は当時、他は現在も任天堂に所属する作曲家である。このうち藤井氏と峰岸氏は前作から引き続き携わっている。前作と同じく本作でもBGMは基本的に作中の架空のアーティストが演奏しているという体でつくられている。前作で中心的な役割を担っていたアイドルユニット・シオカラーズに代わり、本作ではテンタクルズというラッパー&DJで構成された新ユニットが大きな存在感を示すようになり、テンタクルズ用の楽曲は主に峰岸氏が手がけている。また、アップデートやエキスパンションなど折々に新曲が書き下ろされている。サウンドトラックについては通常盤のほか、DLCの追加曲を収録したものやライブ音源のものなども存在する。

テンタクルズの持ち歌の一つとして、フェスマッチで流れるのがこの曲である。フェスとは期間限定でおこなわれるオンラインイベントで、お題に沿って陣営に分かれ、ナワバリバトルに挑んでチームの勝利に貢献していくことになる。フェス開催中は常時夜になる特別仕様もあり、非常に強いお祭り気分に満ちているが、この曲はそうした気分をいっそう濃厚に印象付けてくれる。四つ打ちのリズミカルなビートに、7秒頃から派手に鳴るシンセが重なり、さらに15秒あたりから奔放なボーカルが乗ることで、独創的なノリの良さを感じさせる。24秒になるとボーカルがメロディーにあわせて独特なうねりを効かせながら歌い上げ、奇妙だが耳に馴染むユニークな響きを生む。45秒以降のサビは電子音と歌声がうまく融け合って鮮やかな盛り上がりをみせ、まるで夜を徹して踊り明かすディスコパーティーのような昂揚感あふれる雰囲気を漂わせる。癖になるような快い聴き心地を誇る一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。英語だとEbb & Flowという曲名のようです。潮の満ち引きのことですが……なんか語感がエビフライみたいですね。