バンダイナムコがおくる想いを繋ぐRPG・テイルズオブイノセンスより、
中村和宏作曲、Rの『剣を以って切り拓け』。
PSVita版における前半の通常戦闘で流れます。
テイルズシリーズのうち、DS向け2作目のイノセンスのリメイク版にあたる本作。前世の記憶とともに異能に目覚めた少年・ルカは、前世の恋人である少女・イリアとの出会いをきっかけに、世界を創り変えることのできる創世力をめぐる壮大な旅に出ることになる。大まかな物語やゲーム性はリメイク元と共通しているが、グラフィックの相対的な強化、シナリオの調整、メインストーリーのフルボイス化およびボイス全般の新録、新キャラの登場、戦闘システムの改良、タッチ操作への対応など、広範にわたって再構築されている。特に戦闘面では参加人数が最大3人から4人になり、新たにレイヴシステムという、攻撃を命中させたりコンボを繋げたりしてゲージが溜まると様々な恩恵を受けられる要素が加わった。原作と比べて多くの追加・改善が施され、携帯機水準でさっくり遊べる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは中村和宏氏。フリーランスの作曲家で、原作発売時は音楽制作会社モナカに、それ以前はナムコに在籍していた経験がある。テイルズシリーズには本作をはじめハーツやマイソロなど、主に携帯機作品群に携わっている。本作ではリメイクに際して音源が向上し、既存曲がアレンジされたのに加え、主題歌や戦闘曲など多数の新曲が追加されている。また、曲数増加に伴ってリメイク前後で使用場面が異なる楽曲がいくつか存在する。サウンドトラックは原作のものは発売されているが、リメイク版の追加曲などを収録したものは未発売である。
前半における通常戦闘で流れるのがこの曲である。同名のDS版原曲をよりヴィヴィッドな音源でブラッシュアップしたアレンジである。楽器構成やメロディーそのものには顕著な変化はないが、ギターやシンセの表現力が強化されたことで、いっそう活き活きとした爽快感を漂わせるようになった。28秒頃から始まるAメロでは、原曲で目立っていたアコギが鳴りを潜める代わりに、低音のベースラインや、カッとリズミカルに響くリムクリックの打音が強調されていて、渋さと軽やかさが融合した独特な味わい深さを感じさせる。サビに近付くにつれてエレキギターやシンセブラス、ストリングスが相次いで勢力を増していき、55秒あたりで最高潮に達すると、イントロと同じ旋律をなぞりながら激しく盛り上がる。原曲の魅力を昇華させ、一段と格好良さに磨きがかかった一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。通常戦闘、それも前半のとは思えないほどの熱量ですね（DS版だと前半・後半の区別はありませんが）。原曲もあわせてどうぞ。
