VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1155 『PKせん』(新井理生・山岸継司/キャプテン翼III 皇帝の挑戦/SFC)

www.youtube.com

高橋陽一著のサッカー漫画を原作とする、

テクモがおくるサッカーシミュレーション・キャプテン翼より、

新井理生・山岸継司作曲、3の『PKせん』。PK戦で流れます。

サッカー漫画「キャプテン翼」のゲーム化作品のうち、テクモ製のナンバリング3作目にあたる本作。前作から一年後を舞台に、東西ドイツ統一によって復活した幻の大会・ユニバーサルユースの優勝を目指して、大空翼らが再び激戦に身を投じることになる。シリーズおなじみのコマンド選択式のサッカーシミュレーションという基本的なゲーム性はそのままに、本作からハードをスーファミに移し、元々秀でていた試合演出やビジュアル表現に一段と磨きがかかった。ストーリーは引き続きゲームオリジナルで、新旧キャラの活躍や葛藤、当時の時勢を絡み合わせた波乱の展開を楽しめる。また、翼率いるサンパウロFCのみならず、フランスの岬、メキシコの日向と若島津、イングランドの松山など、世界各地の仲間たちの試合をプレイすることができる。新しい必殺技の追加、自由にチーム編成できる2P対戦用のオールスターモードの導入、ゲームバランスの調整なども相まって、各要素がしっかりとパワーアップされた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは新井理生氏、茂野理香氏、半井香織氏、新田竜一氏、山岸継司氏。スタッフロール上の表記ではそれぞれMACHINE RIO、RIKARIN DATE、KAORIN KYU、KAJIYA SHITAMACHI、SHAKE KEIJINとなっている。いずれも当時テクモに所属していた作曲家である。このうち山岸氏は初代からシリーズに携わっていて、新井氏はナンバリング外だが本作に先行して発売されたゲームボーイ向けのVSでの作曲経験がある。本作ではハードの移行に伴って表現力が増した楽曲群が揃っていて、一部過去作からのアレンジも含まれる。サウンドトラックは未発売だが、前作同様サウンドモードが搭載されているほか、一部の曲の作曲者は新井氏本人の言及により判明している。

PK戦で流れるのがこの曲である。前作・前々作はもちろん、次作以降でも使われ続けているシリーズ通しての代表曲の一つで、本作ではSFC音源になって曲の尺が伸びた。原曲と2のバージョンに比べて半音上がっていて、音源の向上と相まっていっそう激しい疾走感を醸すようになった。主旋律の勇ましさはさることながら、伴奏部分のパーカッションが非常に分厚く力強く響き渡ることで、負けるわけにはいかないというパワフルな意地と決意を滲ませる。後半の23秒頃からは原曲にない追加パートが流れ出し、気持ち良いほど伸び伸びと響く高音を駆使しながら前向きな清爽感を漂わせる。前半はスリリングで油断大敵な印象を、後半はエネルギッシュで意気衝天の勢いを感じさせる緩急豊かな一曲である。

テクモキャプ翼シリーズのPK戦の曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。抜群の格好良さですね。初代からある曲なので、曲前半は山岸さん、新規追加の後半部分は新井さんの作曲、ということのようです。原曲と2のバージョンもあわせてどうぞ。

www.youtube.com

www.youtube.com