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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1175 『戦闘 Type A』(西澤洋/ソウル&ソード/SFC)

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パンドラボックスがおくるマルチシナリオRPG・ソウル&ソードより、

西澤洋作曲、『戦闘 Type A』。通常戦闘で流れます。

ONIシリーズで知られるパンドラボックス製のRPGとして登場した本作。数々の冒険談が伝わるヴァルカノン島を舞台に、冒険を求めて来島した主人公は気ままに旅することになる。学校のお化け退治から、財宝探しや人助け、魔王討伐ごっこに付き合う一幕に至るまで、各地を巡って様々なクエストを攻略していくフリーシナリオ型のゲーム性が特徴である。日数経過の概念があり、特定の時期に発生する時限イベントが存在するほか、期間内に借金を返済しないと強制バッドエンドになる要素なども含まれる。エンディングはこなしたクエスト数に応じて分岐する仕組みで、全クリを目指すもよし、何もしないまま島を出て終幕を迎えるもよし、あるいは道中でバッドエンド行の罠を踏むもよし、総じて自由度の高い冒険を楽しめる。戦闘はオーソドックスなコマンド選択式で、オート進行に切り替えることができる。エンカウント率の高さ、移動の煩雑さなど、調整が大味な部分もあるが、ときに面白おかしく、ときに虚を突かれるような波乱万丈の体験を味わえる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは西澤洋氏。当時パンドラボックスに所属していたクリエイターである。本作では作曲と効果音制作に加えて、ディレクターも務めている。ファンタジーらしい勇ましくも焦燥感漂うオーケストラ風のサウンドを中心に、各イベントの雰囲気に沿ったバラエティ豊かな楽曲が揃っている。サウンドトラックについては、原曲の音源を収録したものは未発売だが、氏自らがmidiアレンジしたバージョンが現在はEGG MUSIC経由でデジタル販売されている。

通常戦闘で流れるのがこの曲である。第一音から勇ましさ全開で奏でられるパワフルなメロディーラインが印象的で、管楽器ならではの派手やかな響きを以って力強く昂揚感を刺激してくれる。主旋律の裏では、自在に音階を駆け上がったり駆け下ったりするアルペジオがふんだんに用いられるほか、終始スピーディーかつ小刻みにパーカッションが鳴り続けることで、曲全体の勢いをうまく支えつつ、耳にしっくりと馴染むような聴き心地の良さを生み出す。基本的には勇壮な気迫に満ちているが、18~23秒のように哀愁がかったフレーズを織り交ぜることもあり、中弛みしないメリハリに富んでいる。とりわけ48秒頃からの盛り上がりは、非常に鮮やかで凛々しい一方で、やはりどこか悲愴感を帯びている。通常戦闘であっても気の抜けない決然とした覚悟を感じさせる一曲である。

とても聴きやすいし格好良い、戦闘曲の鑑だと思ってます。あと印象深いのは人形のオルゴール曲ですね。シチュエーション込みでとても虚を突かれます。あわせてどうぞ(下記動画の16:42~18:41です)。

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