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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1177 『ステージBGM1』(畑亜貴/爆裂無敵バンガイオー/N64)

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トレジャーがおくるシューティング・バンガイオーより、

畑亜貴作曲、『ステージBGM1』。6丁目などで流れます。

ガンスターヒーローズなどで知られるトレジャーが開発し、ESPが販売した本作。宇宙のはての男星を舞台に、熱き血潮の少年・りきは、我が物顔でふるまう宇宙ヤクザ・SF虎巣喪組を倒すべく、人型ロボット・バンガイオーを駆って殴り込むことになる。全44面(作中では「丁目」という単位で表される)から成る全方位シューティングで、キャラもシナリオもシステムもすべてが熱血&ネタ全開のぶっ飛んだノリで構成されている。自機のサイズが小さい代わりに、弾や画面演出が非常に濃い点が特徴で、通常弾でも密度や連射性は十分だが、必殺技はさらにド派手で大迫力である。具体的には、必殺技を撃つと全方位に弾を発射するが、その際、近くに敵弾があれば、敵弾の数×20だけ発射弾数が加算されるため、自機を中心にさながら花火のような過剰な弾幕が形成される。ステージ内の建物は破壊可能で、とことんカオスな大惨事を巻き起こしながらスコアを稼ぐ、という好戦的かつ爽快なゲーム性を楽しむことができる。奇天烈で痛快な魅力に満ちた意欲作に仕上がっている。後にドリームキャストに移植されたほか、XBLA向けにHD移植された。

本作の音楽を担当するのは畑亜貴氏と山中季哉氏。ドリームキャスト版では半澤紀雄氏も携わっている。作中のスタッフロールのミュージッククリエイト欄ではそれぞれ、あき、としや、NONと表記されている。また、作曲はおこなっていないようだが、同じ欄にMr.なみき(おそらく並木晃一氏)の名前も確認できる。山中氏と半澤氏は当時トレジャーに所属していた作曲家である。畑氏は主にアニメ方面で活躍する作曲家で、トレジャー製の作品には本作以前にもダイナマイトヘッディーライトクルセイダーなどでの作曲経験がある。本作では勢いのあるテクノやフュージョン系のサウンドが揃えられていて、複数の楽曲で似たフレーズを共有する例もある。サウンドトラックは本作単体では未発売だが、続編の発売にあわせて64版原曲・DC版アレンジと追加曲を網羅したものが登場した。なお、64版は事務的な曲名だが、DC版は別途曲名が付されている。

6丁目や14丁目など複数のステージで流れるのがこの曲である。『ステージセレクトBGM』や『システムBGM』(いずれも畑氏の作曲)とフレーズを共有することから、ある意味において本作の代表曲のような立ち位置である。勇ましいようで切ない響きを帯びた主旋律に、主旋律と引けを取らない音量と存在感を保つパーカッションパートが重なり合い、速すぎず遅すぎない絶妙に心地良いリズム感を生む。ブラスやオーケストラヒット、鐘の音など、派手な質感のある音色を多く用いているが、メインメロディーがややメランコリックで、刻まれるビートもチルアウト系の独特な雰囲気を漂わせているため、実際の聴き心地はむしろ落ち着いている印象を与える。33秒からのような物憂げなフレーズもあれば、1分4秒からのような緊張感のあるパートもあり、落ち着いているなかにも聴き飽きないメリハリが感じられる。悲壮でありながら軽快でもある、不思議と胸がすくような一曲である。

DC版では『哀愁のメロディ』という曲名でアレンジされてます。音源が変わってすこし爽やかになった気がしますが、ピアノやストリングスがよりクリアな音になったことで悲哀が増した気もします。あわせてどうぞ。

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