VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1185 『Erupter』(並木学/バトルガレッガ/AC)

www.youtube.com

ライジングがおくるシューティング・バトルガレッガより、

並木学作曲、『Erupter』。ラスボス戦で流れます。

魔法大作戦シリーズで知られるライジングが開発した本作。産業革命よりすこし先の時代、強大な連邦国家が台頭する世界を舞台に、戦争兵器の開発で名をあげるも、広がる戦禍を前に己が業の深さに気付いたウェイン兄弟は、贖罪のために最高傑作の戦闘機を駆って連邦に挑むことになる。全7面構成の縦スクロールシューティングで、操作体系は8方向レバーにショット・スペシャルウェポン・オプションのフォーメーション変更の3ボタン制である。特筆すべきは苛烈なランクシステム(立ち回りに応じて難易度が可変する要素)で、パワーアップアイテムを入手する、残機をストックするなど、行動次第で攻略難度が跳ね上がっていく。これにスコア稼ぎの醍醐味が加わることで、いかに自分の腕前を把握して攻略可能な範囲でランクを調節しつつ稼ぐか、立ち回りを意識した緻密なプレイが要求される。その硬派すぎるゲーム性ゆえに親しみやすさは薄いが、後世に残る独特な戦略性に満ちた仕上がりとなっている。後にセガサターンに移植されたほか、PS4とXboxOneに再移植され、後者はランクの可視化やスーパーイージーモードの搭載など敷居を下げる諸要素が追加された。

本作の音楽を担当するのはさんたるること並木学氏。当時ライジングに所属していた作曲家である。本作は並木氏がNMKからライジングに移籍した後、初めて手がけた作品であり、氏を代表する作品でもある。本作ではスチームパンクな世界観を表現するにあたって、ビートを強調して昂揚感を駆り立ててくれるような、デトロイトテクノを彷彿させる攻めたサウンドが取り揃えられている。すでにFM音源の全盛期が過ぎているなかでOPMを使用していたようで、発音数が限られるなどあまりリッチな環境ではなかったそうだが、それを感じさせない粒揃いの楽曲が収録されている。サウンドトラックはビデオ付録として同梱されたことがあるほか、20年の時を経てAC版原曲・SS版アレンジ・新規リミックスを網羅したコンプリート盤が登場した。

ラスボス戦で流れるのがこの曲である。はじめから猛烈なスピードで飛ばすハードな曲調が特徴で、ガバを思わせる破壊的で狂気的な印象を与える。どの一部分を切り取っても恐ろしいほどのスリルとテンションに満ちていて、9秒でハッと息を詰まらせるような音が響いたり、19秒から高速なハンドクラップが加わったりすることで、ますます耳にこびりつくようなインパクトを生む。28秒~32秒では一際けたたましい轟音が鳴って熾烈さを極め、その後も勢いに歯止めがかからない。ループ直前のフレーズとなる52秒で、テンポを落とすことなく不意に流れが止まると、間もなく曲冒頭に回帰し、再び爆音を轟かせる。タカが外れたようなマッドでエキサイティングな一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。当時最後までクリアできた覚えはない気がしますが、曲はどれも好きです。サントラのリミックス版『Erupter (m1dy Remix)』と再移植版の並木さんセルフアレンジもあわせてどうぞ。

www.youtube.com

www.youtube.com