VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1198 『ステージ1&6BGM』(中馬淳・松原健一・萬野裕彦/クライシスフォース/FC)

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コナミがおくるシューティング・クライシスフォースより、

中馬淳・松原健一・萬野裕彦作曲、『ステージ1&6BGM』。1面と6面で流れます。

ファミコン末期に登場したコナミ製のシューティングにあたる本作。突如現代に蘇った古代国家・アトランティス大陸の襲撃により未曽有の危機に陥った世界を舞台に、双子の兄妹・アスカとマヤは、伝説の戦闘機・オーラウィングを駆って人類の存亡を賭けた戦いに挑むことになる。全7面構成の縦スクロールシューティングで、3段階の難易度に応じてエンディングが変わる仕組みである。自機は3種類(それぞれ前方・後方・側方の攻撃に特化している)に変形可能で、いつでも何度でも切り替えることができるほか、合体アイテムを集めると一定時間無敵になりショットが強化される要素が含まれる。特筆すべきはハード性能の限界に挑戦した滑らかで良質なグラフィックで、多重スクロールなどを駆使して2Dだが疑似的に奥行きを感じさせるような表現や演出が光る。2P同時プレイにも対応していて、合体時は片方が自機の操作とメインショットを、もう片方がサブショットと方向を担当する。総じて細部までつくり込まれた精緻な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは中馬淳氏、松原健一氏、萬野裕彦氏。スタッフロールではそれぞれJ. CHUUMA、K. MATSUBARA、Y. MANNOと表記されている。いずれも当時コナミ(およびその内製サウンドチームのコナミ矩形波俱楽部)に所属していた作曲家である。本作ではアップテンポな曲調に低音やパーカッションをうまく取り入れた重厚な楽曲が揃っていて、当時のコナミサウンドの例に漏れず聴き応え満点なBGMを楽しむことができる。サウンドトラックについては、長らく音源化されてこなかったが、発売から20年後になって、コナミ製のSTGサウンドをまとめたKONAMI SHOOTING COLLECTIONの一環として本作の楽曲が収録された。

1面と6面で流れるのがこの曲である。1面は森を抜けて海上都市を進む最序盤のステージ、6面はピラミッド風の機巧が立ち並ぶ終盤のステージである。イントロからけたたましい勢いで鳴るパーカッションが特徴的で、主旋律が入ると悲壮的であると同時に疾走感あふれる印象を与える。はじめは低めの音域で重たく響くが、14秒で一気に音階を駆け上がって伸びやかな高音を奏でるようになると、非常にキレのあるダイナミックな躍動感を生む。主旋律が自在に響き渡るなか、パーカッションパートは終始切羽詰まったリズムを刻み続け、最初から最後までクライマックスと言わんばかりの息もつかせぬ勢力を保つ。危機的な状況で進撃するスリルがよく表現された一曲である。

隅々まで格好良い曲ですね。焦りと勇ましさのバランスが抜群に良いです。