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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1211 『風神少女』(ZUN/東方花映塚 ~ Phantasmagoria of Flower View./PC)

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上海アリス幻樂団がおくる対戦型弾幕系シューティング・東方花映塚より、

ZUN作曲、『風神少女』。射命丸文のテーマとして流れます。

同人の弾幕シューティングシリーズ・東方Projectの第9弾にして対戦要素を取り入れた異色作にあたる本作。幻想郷中で四季折々の花が一斉に咲き乱れるという原因不明の異変に対し、博麗霊夢ら少女たちが各々の思いを胸に立ち上がることになる。画面二分割で自陣に出現する妖精や幽霊を倒すことで敵陣に弾を送り込んで戦う一風変わったゲーム性が特徴である(同ジャンルのティンクルスタースプライツのシステムを下敷きにしている)。妖精は倒すと爆風を起こし、その爆風に他の敵や弾を巻き込むことで効果的に掻き消せるほか、通常時は硬くて倒しづらい幽霊を、低速移動時に形成できる吸霊フィールドに当てることで容易に撃破・妖精同様の爆風を発生させられるなど、戦略と判断力を試される細かなルールが設定されている。最終的に対戦相手より先に被弾するなどして陰陽玉(ライフ×5)が尽きたほうが負けとなる。物語に応じて進めるストーリーモード、CPUやネット対戦ができるマッチモード、特殊ルールで遊べる隠し要素のエキストラモードの三つのモードが搭載されている。やや複雑だが奥深い遊び応えを持つ仕上がりとなっている。後にSteamに移植された。

本作の音楽を担当するのはZUN氏。おなじみ上海アリス幻樂団の主宰で、作曲含め開発全体を担っている。本作ではいつもの弾幕シューティングと違って対戦をメインに据えていることから、道中曲に該当するBGMはなく、プレイアブルキャラごとにテーマ曲が用意されている(従来だとボス戦で流れるもの=そのキャラのテーマ、という構造であることが多く、実際に本作でも過去作のボスBGMが一部アレンジされて用いられている)。全体的に華やかさはありつつ、心なしか落ち着いた印象のあるサウンドが揃っている。例によって作中にミュージックルームがあり、全曲コメント付きで解説されている。

射命丸文(しゃめいまる・あや)のテーマ曲として流れるのがこの曲である。本作で使用されているのはショートバージョンで、原曲は書籍「東方文花帖 〜 Bohemian Archive in Japanese Red.」付属のCDに収録された6分超えの大曲である。新聞記者を生業とする鴉天狗の少女で、性能面では全キャラ屈指の移動速度を誇る。出だしから三連符を駆使して予測不能なメロディーを紡ぐトランペットが特徴的で、7秒頃から規則的なリズムが加わると、ズンチャズンチャとしっかり裏拍を取りながら進行していく。テンポは速いが、終始分かりやすくビートが刻まれることで、疾走感のみならず安定感のある印象を与える。45秒頃でサビに到達すると、華々しくて凛々しくて、それでいてどこか寂しげな旋律を奏でる。サビを過ぎてもトランペットの勢いは止まらず、1分16~22秒でピアノとオルガンが鮮やかに協奏すると、後を追うように再度トランペットが高らかに鳴り響く。二度目のサビが終わりかかる頃の2分10秒で一旦テンポを落として転調すると、続くラストスパートをいっそう力強く盛り上げてくれる。非常に濃厚で華麗な一曲である。

すごく詰まった曲ですよね。おいしいところを圧縮したこのバージョンが好きですが、原曲には中盤と終盤にピアノの独壇場があり、そちらもとても綺麗です。あわせてどうぞ。

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